Pyra
Instagram:@onlypyra
2016年にApple Music Best New Artistに選出され一躍話題となったタイ出身の新鋭シンガー。音楽制作及びMV監督、ビジュアルディレクション、コンサートブッキングまで自ら行うバイタリティと、その高いサウンドクオリティも魅力。昨年Warner Musicと契約し、さらに世界的な広がりを見せる今後の活動にも目が離せない。
ーあなたが住んでいるところは?
タイのバンコクです。とても多様性に富んでいて、文化も豊かな街。でも今は政治的な混乱が国を悪い方向へ運んでいる、衰退させているなと感じています。
ーまわりの音楽シーンのトレンドは?
ヒップホップと、韓国の影響を受けたR&Bかな。
ー音楽を始めたきっかけは?
8歳の時に母が習い事としてボーカル教室に通わせてくれたのがきっかけ。その後、ギターとピアノもやらせてもらいました。
ー今どんな音楽を作っていますか?
自分では「ディストピアン・ポップ」って呼んでいます。音的にはハイパーポップなのだけど、他のハイパーポップと違ってディストピア的メッセージを秘めているところ。私が音楽を作ってるのは、私たちが今正しいアクションを起こさない限り、暗い未来が待ち受けているって警告するためなんです。
ー制作のインスピレーション源は?
経験すること全部からかな、私の音楽はメディアに出すのは深刻すぎたりセンシティブで、人に言えないことを歌にしているので。自分を上手く言葉で表現できない時に、私の場合はそれが音楽だったり、アートとか、ファッションとして外に出るという感じです。
ー影響を受けた人・メンターは?
いません。いたらいいなとは思うけど。メンターとすべきことは自分でやれてるのかも。でも私が今やってることってアジアでは変わってるから、どちらかというと他の人のメンターになることは多いかな。若い世代のアーティストや友達の多くは私にアドバイスを求めてくるの。メンターとセラピストの間って感じで(笑)
ー気になっている社会問題は?
アルバム『fkn bad Pt.1』に入っている曲は全て社会問題をテーマにしていて、フェミニズムとか政治とか資本主義、戦争やメンタルヘルスの問題に関して触れています。「fkn bad」は現在さらに2枚のEPを制作中のビッグプロジェクトで、今、世界で直面しているあらゆる種類の「不平等」について語っています。私が40歳になったときの目標は、アクティビストになって、もっと大きなスケールで世界を変えられるようになること。私が今作っている音楽は、そのための道を切り開くもの。
ー幼い頃から変わらない自分の性格は?
とても奥手で、内向的なところだと思う。友達と一緒より、一人でやる方が好き。仕事や時間に関してはとても効率的だし、一人の方が作業スピードが上がる気がする。
ー注目しているファッションブランドは?
Iris van Herpen、Robert Wun、Y-3、UNIQLOも好き。ユニクロは毎日着る服としてぴったりだよね。
ー気になっている音楽ジャンルは?
ハイパーポップ、アバンギャルドエレクトロニック、あとは現実世界の環境音とか。
ー音楽を聴くときに使う機器は?
音楽を聴くのは運転してる時、車の中が多いけど、細部まで集中して音楽を聴きたい時はRokit KRK8のモニターとAudio Technicaのノイズキャンセルヘッドフォン、あとはAirPodsも使う。スピーカーが音を歪ませるからBluetoothのスピーカーで聴くのがとても嫌い。アーティストが意図したものとは全く違うものになってしまう。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
『fkn bad Pt.1』という最新EPをリリースしたばかり。特に「paper promises」はコロナの時に、自分でディレクションをして撮ったビデオだからぜひ観てほしい。あと3枚のシングルをリリースして『fkn bad Pt.2』としてパッケージ化されたので、SpotifyとYouTubeでぜひ聴いてみてください!
ーおすすめの曲を3曲教えてください。
Sad Night Dynamiteの「Krunk」 は、最近見つけた中でも特にお気に入りでハマってる曲。
Spotifyで新しいアーティストとか曲を探すのが好きで、Awich、JP THE WAVY、YZERRの「GILA GILA」もおすすめ。ポップから実験的なものまで日本の音楽をいろいろ聴くことが多いけど、この曲は、パワーとエネルギーがある今一番のヒップホップのトラック。言語が違って意味が理解できなかったとしても、曲を通していかに感情を聴き手に届けられるかがアーティストとしての力の見せどころだと思うんだけど、この曲で彼らは見事にそれをやってのけてる。アジアのヒップホップ界で彼らの右に出る人はいないと思う、本当に。
Sega Bodegaの曲は全部大好きで、「Make You Stay」(Sega Bodega & Låpsley )は特におすすめ。彼は私のお気に入りのプロデューサーの一人で、この曲は特にリピートしてる。流行に左右されないタイムレスな曲だし、きっと何年経ってもトレンドに流されない、確立した曲であり続けると思う。
*このインタビューは2021年12月30日に発売されたVI/NYL #005のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL