SKY-HI
Instagram:@skyhidaka
2005年より都内クラブなどでマイクを握り始める。2013年「愛ブルーム/RULE」でメジャーデビュー、2017年には日本武道館公演を実現、毎年大型野外フェスにも多数出演。本年2月にリリースしたStray Kidsのプロデューサー・ユニット3RACHAとの楽曲「JUST BREATHE」がiTunes世界29ヶ国・地域で1位iTunesワールドワイド・ソングランキングで3位を獲得。並行して、2020年には主宰を務める株式会社BMSGを設立、ボーイズグループ・オーディション『THE FIRST』を実施するなどアーティストのみならず社長やプロデューサーとしての顔も持つ。
Hiro(MY FIRST STORY)
Instagram:@hiro_mfs_official
@myfirstsoryofficial
2011年夏、渋谷にて結成したMY FIRST STORYのボーカル。翌年ファースト・フルアルバムでデビュー。ヘビーなラウド・ロックからハイトーンをいかしたスウィートなバラードまで緩急自在に操る。2021年にはソロとしても本格始動。MFSのデビュー10周年時に2回目となる日本武道館公演を開催。6月からはコロナ禍で中止となったツアーのリベンジとして全22公演を実施、ファイナルは12月9日@横浜アリーナが決定している。
今回実現したサプライジングなフォトセッション。インタビューパートでは拓也と共演4者とのスペシャル対談が実現。まずは親友SKY-HIとの仲の良いクロストークからスタート。
ーお二人の出会いは2016年ぐらいと伺ったんですが、実際の具体的なタイミングって思い出せますか?
TAKUYA 確か2016とか17とか。
SKY-HI (携帯を取り出して)調べます?
TAKUYA もうええって! それ、俺のツイッターのDMが出てくるやつやん(笑)
ー最初がDMだったんですか?
TAKUYA 違います(笑)。最初のきっかけは『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』だったんです。その時に、バックヤードでCzecho No Republicの武井君から紹介されて。
SKY-HI で、その後DMナンパされて。ご飯行こうやって。(携帯を見ながら)17年ぽいっすね!
TAKUYA まぁ、間違ってないけどな(笑)
ーでも実際、フェスのバックヤードで話す人はたくさんいても、プライベートの飲みにまで繋がる人は少ないですよね。
SKY-HI 確かに。わりとすぐ誘ってくれたんだよな。
TAKUYA 俺、そのときLiSAちゃんとすごく仲良くて、彼女含めてバックヤードでみんなで一緒にわちゃわちゃしてたんですよね。で、その場のノリで「また今度飯行きましょうよ!」みたいになって。サシ飲みを提案したんです。
SKY-HI 俺は2人だと恥ずかしいから、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)に付いて来てもらった(笑)
TAKUYA そうやそうや、それできゃりーも来るんやったらLiSAたちも誘おうってなってみんなで行ったんや。そうか、あの飯が最初か。
SKY-HI あれ、たぶん最初やと思う。
TAKUYA 全然最初な感じしなかったけど。
SKY-HI そうだね。
ー最初の印象ってお互いどうだったんですか?
SKY-HI (ボケを)拾うなぁっていう。拾ってくれはるなぁって。
TAKUYA 同じく、めっちゃボケるなぁって。
ー2016年〜2017年くらいだとお互いセカンドアルバムくらいの時期ですかね?
TAKUYA ですかね。セカンドかサードかぐらい……。
SKY-HI 僕も2016年はサードが出てるくらいかな。
TAKUYA でも、出会ってすぐミックステープ(『FREE TOKYO』)を聴いた感じやった気がするなあ。
SKY-HI そうか、2017のロッキンだから武道館やった直後だ。で色々ちょっと、方向転換しようと模索していた頃か。
ー出会う前のお互いのストーリーも探りたいんですけど、SKY-HIさんは2005年〜2006年段階ですでに現場(※クラブ)でラップし始めていて、キャリア7年ほど経過した2013年にソロとしてメジャーデビュー。2013年というと、オーラルは『MASH A&R』のオーディションでグランプリを獲得。
TAKUYA 早! 2005年でもうラップしてるんか。
SKY-HI グランプリなんて羨ましい。
ーその後オーラルは「起死回生STORY」でのメジャーデビューが2014年。拓也さんは2015年、SKY-HIさんは2016年にそれぞれ声帯ポリープを摘出。なんとなく、お二人はバイオリズムとか人生のターニングポイントなども合致していて、出会いそのものも結果的にそういうタイミングだったのかと。そういう運命性みたいなのは感じます?
TAKUYA 俺はめちゃめちゃ感謝してるんですよね。「飯行きましょうね」みたいな社交辞令って、やっぱりよくあるじゃないですか。
SKY-HI で、結局行かないパターンな。
TAKUYA 6〜7割ぐらいそうだと思いますけど……。実は昔、うちのファンが「日高さんと兄弟ですか?」ってめっちゃSNSで送ってきてたんですよ。めちゃめちゃおこがましいし、申し訳ないなと思ってたんですけど。
ー初めて接点を持つ前の話ですね。
TAKUYA そうです。もちろん名前はめっちゃ知ってたんです。ドームツアーとかもしてるしキラキラしてる世界の人やし、俺のことなんて絶対知らんやろなって思ってたんです。で、ロッキンで武井君から紹介された時も「すみません……」って感じで挨拶に行ったら、すごくフラットに絡んでくれて。それが最初めっちゃ嬉しかったんですよ。その時「ああ、この人はバックグラウンドとか正味関係ない人なんやな」って思って、それがすごい自分の中では響いて。そこからの「飯行きましょう」も社交辞令になってもいいのに、SKY-HIは誘ったらマジで120%来てくれる、みたいなんが続いたんですよ。絶対来るやん、みたいな(笑)
SKY-HI もう連チャンで行ったよね。
TAKUYA 「今日行ける?」って誘ったら「今日ライブやわ」って返ってきて。あ、そうか「じゃあ今日は無理やね」って言ってたら、ライブ終わりに来る(笑) まじかよ、みたいな(笑) なんてパンチある人なんやと思って、それで信頼感みたいな気持ちが俺の中ではすごく芽生えたんですよね。その初めの印象が結構強かったから、それがSKY-HIと今も続いてるところなんやろうなと思う。結果的に自分たちの歴史を辿っていったら、共通点も多くて仲良くなっていったっていう。
ー実際似てるなと思います? お互いに色んな意味で。
SKY-HI どうぞ(拓也に対して)。
TAKUYA 俺は結構あるんですけど、活動しているフィールドだったり、創っていく場所がそれぞれ別ジャンルっていうのが逆に気持ち良いと思ってて。でも根本にある部分は似てると思うし、俺は少なからず影響されている部分も絶対あるから。そういうのは感じたりしますかね。
SKY-HI いや、なんか似てる気がする。何かって言われると困るんだけどね。それこそ、アティチュードってことなのかもしれない。いわゆる表層的な意味ではなくて、もっと根本的なショーマンシップとか、音楽自体へのアティチュードとか。
ーそういう深いマインド部分のお話もされました?
TAKUYA いまだに覚えてるのが一個あって。ほんまに出会ってすぐくらいのタイミングで、常田(大希)、米津(玄師)、SKY-HIみたいなメンツで、仲いいやつだけ集めて飲んでた時があって。俺べろべろに酔っ払って、ヨネとダイキに「なんでお前らみたいなところまで行っているやつらが、俺みたいな人間と絡んでくれてるのかようわからん」みたいなことを言ったんですよ。常田と米津は「お前、人間やん」みたいなことを言ってくれて。その時にだっちゃん(※SKY-HI)が「お前が言ってること、すごくわかる」って言ってくれて。「色んなしがらみがあるよな、自分が置かれている環境に対して、いかにそれをひっくり返せるか、っていうところのつらさとかあるよな、わかるぞ」って。俺はそれをめっちゃ覚えてて。
SKY-HI ストラグル!(※人生のつらさへのボヤキ的なニュアンスのスラング)
TAKUYA そういう環境に対しての思いとか、本当にやりたいことを求める反骨心みたいなのがあるところは、すごく自分と共通してるなって。その時すごく思いましたね。
ー自分が置かれた環境に対して、どう向き合っていくか。
SKY-HI ストレスに対する立ち向かい方っていうのは、如実に人が出ると思うので。そこに向き合う姿勢はシンパシーを感じますね。ネガティビティを感じたことに対して、即時的な快楽でそこから目をそらすという作業は俺もあまり好きではないから。それを解決するために、もがいたり、あがいたりして苦しむ方がまだ良いというか。死ぬときに後悔したくないですから。
ー拓也さんにとって、環境や境遇の近いSKY-HIさんとの関係性はどうご自身に影響してました?
TAKUYA そもそもオーラルは“ビジネスで立ち上げたバンド”って、色んなメディアで言ってるんです。まず“売れる”っていうことを、どんな手を使ってでも実現しようっていうのがオーラルの出発点。アリーナとか、自分たちの目標も色々実現できてたんですけど、器用にやってた分漏れてる部分も確かにあって。でも、その漏れてた部分にこそ自分たちが今求めているものがあったんですよね。だっちゃん(SKY-HI)と出会った時は、そこにすごく満足いってないような状態だったんで、これから先の人生を考えた時に、同じ境遇で頑張ってるこの関係性はすごく必要だなと思ったんです。一緒にやってたらひっくり返せるし、勇気もらえるなって。
ーそういう意味ではメジャーとインディーとの境界線をずっと感じていたということですか?
TAKUYA 日本のカルチャーを見た上で、売れることを考えるとステージ上の華だったりカリスマ性とかアイドル性ってどうしても必要だなぁと思ってたから、いかに自分をアイコン化するかということをめちゃめちゃ考えてやってたんですよ。特に2015年〜2016年辺り。チョーカー着けるとか、ヒラヒラなパンツ履くとか。でもそれから時間も経って、インターネットも活性化して誰でも簡単にオリジナル曲を出せる世の中になったことでリスナーの耳もどんどん肥えていって、音楽に対してシビアになったと思うんです。それは逆にチャンスだなと。自分にとって“アイコン化”みたいな部分はもう十分に身に付けてきたっていう自信もあるし、こういう世の中になってより作家として突き詰めて挑戦できるタイミングがきたと思ってて。今のリスナーなら届くと思ってるから。
ーでは、このタイミングでできた今回のコラボ「Dive To World」では、今だからこそできる自由さも感じましたか?
TAKUYA コロナ禍があったからこそ、作れた曲だなと思いますね。めちゃめちゃフリーダムに、とにかく楽しんでやろうって思えましたし。
SKY-HI あっという間にできていったからね。
TAKUYA 酔っ払ってノリで曲作ってる流れですからね。純粋に音楽を楽しめた感じですね。
ー一緒に制作していた時の楽しみをステージでパフォーマンスとして昇華した感想はどうですか?
SKY-HI いやぁ、楽しいですよね。ご褒美感あるんですよね。音楽を頑張ってやってきたから、たまにもらえるご褒美。プレッシャーとか責任や不安があんまりないから、楽曲のエナジーとかエモーションとかが相まって、とにかく暴れて帰る! みたいな。3分間(無敵になれる)スターもらってる感じなのかな。
TAKUYA でも、俺的にはあのステージが本来あるべき姿や
なぁと思ってるんですけどね。あの楽しさってお客さんにも伝わっていくし。あの遊んでいるような感覚の方が、音楽に対してピュアでいられるっていうのは絶対あるから。
SKY-HI 本気でやれるから楽しいんだよね。楽しいとか、自由とか、責任がないっていうのは、なんとなくでもいいってことでもなくて、ちゃんとでき得る最高のレベルを本気でやる。無責任に、本気を思いっきりぶつける。それってなかなかできないと思うんですけど。60〜70年代の音楽の強さって、そういうところのような気もするし。もっと遥かに衝動的というか。James Brownのレコーディングが何分で終わるかわかんない感じとか、そういった衝動と音楽の、本来だったらものすごく近かったものは、忘れちゃいけない気はしますね。
TAKUYA なんか無双する感覚なんですよ。ただただ今のパフォーマンスが一番かっこいいから、もうどこまででも行けるぜみたいな瞬間。いかにあの瞬間をつくっていけるかですね。でも、それって考えてできることでもなくて、普段からどれだけ練習して本番を迎えるかなんですよね。
ーまさに努力してきた結果のような、本当にご褒美のような瞬間ですね。
SKY-HI あれ楽しめなくなったら、引退考えないといけないレベルで楽しい。
TAKUYA あれが楽しくなかったら、もう、音楽好きじゃないってことでしょ(笑)
ーここまで色々お話を伺ってきましたが、最後に改めてお互いの魅力を聞かせてもらえますか?
SKY-HI いや、恥ずいから、ちょっと嫌です(笑)
TAKUYA そんなのあんまりないです(笑)
SKY-HI 弱さや脆さと強さとのバランスが、50:50なところかなと思いますね。弱い部分を人に見せるというのは、危険もあるので。かっこつけたり強がることによって、無理矢理自己肯定をすることによって、そういった部分を封じ込めて武装する方が生きやすい。それこそ、ブランディングという話になっても、固めきってしまう方が自分を守れる気がするんだけど、それをせずに自分の人間としての自分を殺さずに、普通にそのままアーティストとして、音楽をやっていこうとするという辺りじゃないですかね。
ープライベートでもそういった側面は同じですか?
SKY-HI 同じですね。プライベートでの悩み相談でも、普通は弱い部分とか失敗した部分を人に話すのってやっぱり怖いし恥ずかしいんでね。そういうのを平気で言える辺りが、むしろ強さのような気がしますし、それがたぶん、世の中の人が言うところの人懐っこさとリンクしてるんだと思いますけど。いつも●んちん出して歩いているようなもんですね。
TAKUYA 誰がいつもちん●ん出してねん(笑)
ー拓也さんからSKY-HIさんに対してはどうでしょう?
TAKUYA 誰に対してもフラットであるっていうのは、まず間違いなく素敵な部分だなと思う。あとは、徹底したエンターテイナー気質。しかも超ピュア。好きは好き、嫌いは嫌い。楽しいを全力で表現する。それは俺にはなかなかできないことだから、めちゃめちゃ羨ましいなと思うしそこに惹かれている部分もある。しかも、その自分のやりたいことを最大限にやるために、どうすれば良いかを明確に考える能力や頭脳も兼ね備えてる。やること全部頭いいっていうか、すごく理にかなってて合理的。納得しちゃう。
ーではプライベート寄りで言うと?
TAKUYA プライベートで言うと、やっぱ、家に泊めてくれるっていうとこですかね(笑)
SKY-HI 一応、まだ毛布あるよ。そろそろ暖かくはなってきたけど……。
TAKUYA 俺、食っていけなくなっても寝るとこはあるなって思ってる。
SKY-HI 何か拓也が寝ているソファーに、最近変なシミが……何した?
TAKUYA やめ、やめ(笑)
ーさらけ出しすぎですね、それは(笑)
SKY-HI ●んこ出してるからね。
TAKUYA でもほんま一緒にいて普通に楽しいです。中学の連れのような同じ感覚でいれることって、めちゃめちゃ大事ですよね。東京に出てから、なかなかそういう友達ってできなかったので。それがめちゃめちゃ俺は嬉しい。
ー親友って言える間柄って大人になると難しいですからね。
TAKUYA まぁ、言えちゃいますね。
SKY-HI そうねぇ。拓也とは同じくらい頑張ってないと会いづらくなっちゃう気がするんですよね。上手くいってるいってないはあれど。それはすごい健康的な関係だと思いますね。
ー触発し合ってるというか。中途半端な自分では会えない。
SKY-HI って、なる気がするんだよね。先行き不透明な中頑張るって、大変ですから。まぁ頑張っても上手くいかないことあるけど、頑張ってないのに上手くいくことはないですからね。なので、(これからも拓也と会うために)頑張っていこうと思います。
TAKUYA お後がよろしいようで。
SKY-HI 最後の1行だけ見たら、びっくりするかも。
ー“頑張っていこうと思います”っていう締めはなかなかないですね。
SKY-HI 1年目か(笑)
TAKUYA 1年目でも言うの恥ずかしいよ(笑)
コラボ企画第2セクションはHiroとの対談。もともと因縁のあった2人がここまでの関係性に至った経緯や、あの頃抱いた思いも赤裸々に話してもらった。
ーお二人の場合、やはり過去の確執から触れたいところではあるんですが、色んなところでも話されていると思うので重複は避けつつ聞かせてください。相手に対してどうこうより、まずあの頃の自分を思い返すとどう思いますか?
TAKUYA (Hiroに対して)どう思います? 逆にそれは聞きたい(笑)
HIRO 俺? いや俺、別にスタンス変わってないからね。俺がむしろ一番変わってないでしょう、ずっと。ああいうことを言ったけど、もうわざわざ謝りに行くことでもないじゃん? タイミングもないし。俺はただ「嫌われたな」っていう印象だったから。
TAKUYA いやいや、ケンカ売ってきたのそっち(笑)
HIRO そう、だから嫌われてるなっていう(笑)
TAKUYA 俺らは、ケンカ売られたと思ってたからな(笑)「おうおう、やってくれとんの」と思ってたんでね、俺。でも結果、勘違いやったっていうのがわかってからですけど、つくづくHiroは勘違いされやすい人間やなと思いましたね。
HIRO それめっちゃ言うやん。でも、勘違いされやすいんじゃない。
TAKUYA Hiroはちゃんと絡まないとわからない部分が多くて。絡んだら見えてくる人間的な温かい部分もあるし、面白い部分もあるし。そういうのはやっぱりちゃんと絡まないと俺らもわからなかったので。そこをたぶんみんな知らない。で、やっぱりHiroの表面上のスタンスだったりとか、ステージの見せ方とかの部分で敵が多そうなのはマジで感じる。けど、一歩踏み込んでみたら俺はHiroの見え方がめっちゃ変わったんだよ。だから、あの時の自分を振り返ってみたら、やっぱり表面上で判断したらあかんなって思いますよね。
ーやっぱりあの頃は深く判断せずカッとなっちゃったなと。
TAKUYA そうですね。まぁでもあんな風に言われたら誰でも俺らに向かって言ってると思ってしまいますけどね(笑)
HIRO いや、全然違うニュアンスだから!(笑)
ーそう考えると、お互いあの頃は“ジャイアントキリング”な気持ちや“番狂わせ精神”も強かったからこそ見えてない部分もあったかな、とも思います?
TAKUYA いや、俺のスタンスは全く変わってないですね。ただ、説得力が増したという感じはします。とにかく“噛みつけばいい”と思ってた昔の自分から、なんで噛みついてるのか、何を思っての番狂わせと言ってるのかみたいな部分は、自分の中で説得力が増してきてるなって。あるとすればそこの差ぐらいで、スタンス自体は変わってないですね。
HIRO 僕も全然変わってないですね。僕らは全然オーラルとか他のバンドと違って、マジで色んなバンドマンから嫌がらせたくさん受けて生きてきたバンドなんで。周りとこんなに絡んでこなかったバンドは、マジで俺ら以外いないと思うんですよね。でも逆に、あの時から優しくしてくれていたバンドもいますからね。ロットン(ROTTENGRAFFTY)とか、Dragon AshもそうですしRIZEとか。ラルク(L'Arc-en-Ciel)のHYDEさんとかも。すでに一周した人たちは、もう僕らのことなんとも思ってなくて。本当に個人として付き合ってくれたというか。クソ生意気なバンドが出てきた、でも別にこのバンドが売れようが売れまいが、どこに立とうが立てまいがもう関係ないと思ってるんですよ、彼らは。そんな場所にもういないから。俺らがもう辿り着けないところに行ってるからなんか素で、余裕で一緒に対バンしてくれてたんですよね。NOISEMAKERもそうだったし。なんか本当に、あの頃、僕らと一緒に対バンしてくれてた人に恩は絶対返したいと思ってるんですけど、やっぱりそうじゃないバンドの方が本当に圧倒的に多かったので。さっき拓也が色々言ってくれてたけど、実際話してみて拓也だったから仲良くなれましたけど。もっと言えばオーラルとはそもそもバンドとしての確執は別にないんですよね。対バン断られたとか、俺らをはねのけてたとかもなかったんで。俺と拓也の個人間の思いしかなかったから、全然他のバンドとは違う思いだったんですよね。
ーそういうバンドとして中指立ててる根本精神は近かかったんですよね、きっと。
HIRO そういう精神は忘れないようにしてます、ずっと。ホントに。
TAKUYA 大事よ。
HIRO この炎だけは忘れないようにという。
ー結果として、こういう経験って良かったなと思います?
HIRO めちゃくちゃ良かったなと思います。結局何言ってもここまで来れたし、結果全てが繋がっていって良くなったなという思いはあります。でも、かと言って別に「じゃあみんなのおかげだね」という感じになれるほどではないので、僕は。だから結局スタンスは変わってないですね。
ーそういうお二人が今回「BLACK MEMORY」で共演した形ですが、このタイミングでという思いはあったんですか?
TAKUYA このタイミングやからこそ、みたいなのはありましたかね。このコロナ禍で自分自身のマインドもかなり変わったんで。
ーそれは具体的にはどういう?
TAKUYA このコロナ禍で、誰が友達かわからなくなったんですよね。で、「俺この人に好かれようとしてずっと飲んでた」とか「無理して関わってたな」とかがめっちゃ見えてきて。「いや、それやる意味ある?」って。コロナ前までは、手広く色んな人に自分という人間をわかってもらえるように頑張って動いてましたけど、この環境になって自分が大切な人が見えてきたし、この状況ででも連絡取る人間ってやっぱりよっぽどだと思うし。と思ったら、誰と一緒に何をしたいかという部分で「俺はこの人たちと一緒にシーンを作っていきたい」「この人達と一緒に人生を楽しく歩んでいきたい」って思って。そんな気持ちがむちゃむちゃ強くなったこのタイミングで、自分が「この人は!」って思って誘ったのが今回のメンバーなんですよ。
ーHiroさんもその一人だったってことですよね。なかなかのラブコールですが、いかがですか?
TAKUYA そんな言い方する?(笑)
HIRO いやいや、使い勝手良かったんだろう(笑)。けど拓也とは結構色んなことが繋がってくるなと思ってたの、僕は。バンドとしてというか、ボーカルとしてというか……わかんないんですけど、僕らとオーラルって引っ張っていくものが違うんですよね。僕らはさっきも言った通り、独立遊軍として個人で動いてきた思いがかなり強いんですけど、オーラルの場合は他のバンドとかともちゃんと切磋琢磨してツアーも回ってきたという印象が、僕らからはすごいするので。拓也は“僕らの世代で何か起こしたい”という思いも強いし、そういうビジョンをしっかり持ってるタイプのボーカリストだしバンドマンだと思うので。僕らとはちょっと種類が違うなと思うんですね。そういう思いとかビジョンを持つことを、僕はすごい素晴らしいなと思ってるんですよ。ただ僕らがそれを率先してやるのは僕自身もビジョンが見えないし、説得力ないと思うからやってないだけで。だから、プライベートも交流あって同じシーンでやってる同世代のバンドマンとして、彼が発信するプロジェクトに対して僕らが参加する、というスタンスが一番正しいと思ったんですね。それが一番、力を発揮できるんじゃないかと思ってるので、基本拓也の主軸に乗っていくというスタイルを取ってる感じですかね。
ーなるほど、そういう意味ではシーンに対して、各々の役割観もイメージしていますか?
HIRO バンドを持っていく方向が違うんじゃないですかね。僕らは“個”として考えてるんですけど、たぶんオーラルは“集”として考えていて、それが全体的なバンドシーンとかロックシーンみたいなものにも繋がっていくという。(オーラルは)すごい未来を見据えてるなと思うので。だからそもそも、バンドというものに対するビジョンの持っていき方が違うんだと思いますね。
ーやっぱりオーラルからの誘いだったからこそ、これだけのコラボが成立したと思いますか?
HIRO そうですね、僕は本当に他の人から言われてもたぶんOKしないので。本当に友達だし、さっき言ったようなちゃんとビジョンを持ってるしというのが一番ですかね。
ー今後書き下ろし楽曲でのコラボもあり得そうですか?
TAKUYA 友達として付き合っていく流れで起きる可能性はあるって感じですかね。逆に言うと、そこからしか起きないですね、たぶん俺ら。俺らが作ってきたシーンもそうですけど、そういう流れでしか何も起きないので。俺にとってはHiroは友達やから、俺の友達もHiroに紹介するし他の友達にしても、ヨネ(米津玄師)とかダイキ(常田大希)とかみんな飲んだりする中で「それおもしろそうやな」、みたいな“遊ぶ”という感覚でしか形にならないですからね。遊びの延長を仕事にしたいです。
ーHiroさん側からのオファーとして、コラボはどう思っていますか?
HIRO 一緒に作るということは全然ないことはないし、たぶんやるとなったら全然できるんでしょうけど、タイミング次第ですかね。僕らとオーラルの絡みの頻度というか、出しどころみたいなのはちゃんと図っていきたいですね。
TAKUYA 確かに。
ーそれも楽しみに待ってます。では、お二人のゆるい部分もお聞きしたいのですが、お互い飲むとどんな感じですか?
TAKUYA いやもう俺はHiroに情けないとこばっかり見られてるので(笑)
HIRO 生きて帰ったことないです。基本潰れてます、彼。
ー潰してるのではなく?
HIRO いやいや、勝手に潰れてる(笑)
TAKUYA 勝手にじゃない。潰してる。
HIRO いやいや、そんなことない。
TAKUYA 潰されてます!
ーそんなにお酒弱いんですか?
TAKUYA いや、そんな弱いはずじゃないんですよ。
ーHiroさんの飲み方がおかしい?
TAKUYA おかしいですね。おかしいし、やっぱり普通の(酒が)強いの概念じゃ通用しない、Hiroの前では。
ー毎回潰れてるんですか?
HIRO 毎回潰れてますね。
TAKUYA もうほぼ100%ぐらい。
HIRO 本当にほぼ100%俺タクシーに乗せてる気がする。
ー拓也さんから見たHiroさんの飲みっぷりは?
TAKUYA でも、Hiroもやっぱり同じ感じでテンション上げてくれるんですよね。それがさらに悪いところなんですけど。
HIRO 変わんないですよ、そんな俺。
TAKUYA 変わらないね。
HIRO 俺、ただただ上がってくってだけで。元々どんなに飲んでも記憶なくなるとかもないですし。暴れるとかもないですし。このまま本当に上がって、そのまま帰るというような。
ー一番タチ悪いじゃないですか(笑)
HIRO 拓也帰ったし、俺も帰ろうみたいな。
ー飲んでる時に「やっぱりこいつ最高だな」と思った瞬間ってあります?
TAKUYA どっちの話もできるのが結構ありがたいです。アホな話もできるし、真剣な話になったらそこに対しても真面目に答えてくれるし。真面目な話するのってタイミングによっては正味寒いじゃないですか? でもそこの緩急というか、飲みの場の空気感もうまく持っていってくれるから「あ、今真剣な話していいやつやこれ。ちょっとさ……」って、切り替えができるのが良いですね。真剣な話に薄っぺらい答えが返ってくると、俺冷めちゃうので。
ー両方できるのは信頼関係も必要ですよね。Hiroさんが拓也さんを飲みに誘うのは、気軽に呼んでる感じですか?
HIRO 気軽に呼ぶってことはないですね。飯行こうってなって、そのままの流れで飲むことの方が多いかな。「今日、拓也何してんの?」って飲み誘ったことはないよね?
TAKUYA 寂しいんですって、断られるの(笑)
ーだから気軽に言えない?(笑)
HIRO 言えない。飲みだけいきなり誘うって、なかなか俺の概念としては……「飯行こうよ」は全然誘える。飯行ってから飲みに行くというのが、俺の中のルーティーンなんで。
TAKUYA そうだね、確かに。
ーそれこそ元々因縁があった仲で、二人が初めてお酒を飲んだ時ってどんな感じだったんですか?
HIRO いやいやもう1回目飲んだ時に、こいついきなり潰れてたから「ああ、もうこいつリスペクトしなくていいな」って(笑) そっから急にタメ口になりましたね。最初ご飯に行った時は年上だし先輩だなって思って敬語だったんですけど。その数時間後、いきなりベロッベロになって。本当にひどかったから「なんだこいつ」みたいな(笑) 俺こいつに敬語使う必要ないなと思って。次会った時に話しても案の定覚えてないし(笑)
TAKUYA そやったそやった(笑)
ーそれって、色んな因縁が解消されてから初めての飲みですか? 1回目からそんなに飲んだんですか?
HIRO 一発目から結構飲みましたね。がっつり普通にちゃんと話しした後、結構飲んだ気がする。
TAKUYA まず飯で、お互いのボタンの掛け違いみたいなのを解消して。
HIRO そうそう、初めてご飯をちゃんとセッティングして会った日。そのまま飲みに行って。
ーよく言われる、楽屋で仲良くなった後ですか?
TAKUYA 実はその話もちょっと違って、あの時楽屋でもまだ仲良くなってないんですよ。あの後、Hiroの事務所の社長から「お互い、たぶん勘違いしてると思う」、「一回Hiroと拓也で飯行こう」ってセッティングしてくれて、飯に行ったんですよ。俺は結構けんか腰で行ったんですけど。
ーその段階ではお酒もなく、ちょっと重たい感じですよね。
TAKUYA まぁ食べながら、ちょっとお酒も飲んでたんですけど。そこである程度二人ともシラフで確執取って、そのままカラオケ行って。
HIRO 飲み行こうかみたいな。
TAKUYA そうそう。
ーその流れで潰れたんですか?
HIRO 飲んでるとだんだん(笑)
TAKUYA 意地悪だったんですよ。俺の知らない飲み会やったんですよ。マジで(笑)
ーでもその日くらいはまだ気張ってるとこじゃないですか、けんか腰で行ってますし。
TAKUYA でも確執取れてたから(笑)
ーもういいやって?(笑)
TAKUYA ええわ、みたいなところはあって(笑)いや、ちょっとマジで知らない世界やったんですよ。ちょっとびっくりしすぎて。
HIRO 激しかったもん。激しく飲んだよね。
TAKUYA 激しすぎてもうあれはしょうがなかったです(笑)
PHOTOGRAPHY : YUICHI AKAGI
STYLING : SIVA (THE ORAL CIGARETTES, SKY-HI, HIRO)
HAIR & MAKEUP : HIDEAKI MAYUMI (THE ORAL CIGARETTES), MAKI SATO (SKY-HI), MIYUKI MIYAGAWA (HIRO)
INTERVIEW : SADANORI UTSUNOMIYA
*このインタビューは2022年5月23日に発売されたVI/NYL #007のために実施されました。
■VI/NYL