ノルウェー出身のインディー・ポップグループ。2011年にノルウェーの最も大きな賞である、Spellemannprisenの年間最優秀ポップグループ賞を受賞。2015年に一度解散を迎えたが、2019年の再結成を経て3rdアルバム『Something In The Making』を2022年3月にリリース。前作から8年ぶりの新作だが、ブランクを感じさせないクオリティーの高さから、ノルウェーを代表するバンドとしての実力がうかがえる。
ー最新作について教えてください。
アルバムタイトルは 『Something In The Making 』で、今年の3月にリリースされたばかり。他のプロジェクトが忙しくてアルバム制作はしばらく休んでいたから8年ぶりのリリースだったんだ。これだけ期間が開いてリリースすると自分自身に勝利したような気分になるね(笑) Team Meのアルバムを本当に完成させられるのかと何年も悩んだし、ときには険しい山を登っているような気持ちにもなった。それでも僕たちはそれを無事やり遂げて、新しく生まれた作品をとても誇りに思っているよ。
ー今はどんな音楽を作っていますか? また影響を受けた音楽は?
8年前もそうだったけど、その時以上にミニマルな音楽にしようと集中している。そうすることでアレンジの中で起きている全ての音を聴くことができると思うんだ。Brian Wilsonの繊細なポップソングのアレンジとオーケストレーションは今の僕に大きな影響を与えているし、最近よく聴いているSilverchairの『Diorama』は、2003年に発売されて以来ずっと僕のお気に入りの一枚で、Team Meの全てのアルバムに大きな影響を与えている最高の作品なんだ。このアルバムは、色々な意味で僕にとっての教科書だったと言えるかもしれないね。
ーどんな環境と機材で音楽を作っている?
その時に使える場所や環境、楽器で音楽を作っているよ。曲はギターやピアノから始まることが多いかな。ある時はシンセを内蔵したカシオの電卓で曲を作ったこともあるし、本当に何でもありなんだ。前作ではMariusが作曲、デモ制作、そして多くの楽器とボーカルを自宅のスタジオで、ドラムはオスロにあるTaakeheimen Lydrikeというスタジオで録音した。それから、ギター、ベース、グランドピアノ、ボーカル、グロッケンシュピールなどの効果音、子供のバイオリン、合唱、パーカッション、ノイズ、飼い猫Kokosのニャーという鳴き声……様々な音を自宅スタジオと故郷であるフリッサのタウンホールでレコーディングしたんだ。
ー音楽を作る上で大切にしていることは?
新しいことに挑戦すること、行ったことのない場所に行くこと、物事を少しでも推し進めること、そして歌詞を書くとき、絶対に自分に正直でいること。
ー影響を受けた音楽や芸術は?
Mariusと僕、そしてBjarneが最も影響を受けたのはThe Smashing Pumpkins。特に『Mellon Collie And The Infinite Sadness 』というアルバムにはすごく影響を受けた。B面を集めた2枚組のアルバムで、超ヘビーなロックからソフトなアコースティックバラード、実験的な電子音楽まで、全てがおとぎ話のようなカバーアートに包まれて詰まっているんだ。Team Meの世界にも、この全ての要素が持ち込まれていると思う。日本のアーティスト、高木正勝の「おおはる」にも影響を受けたよ。この曲は彼の素敵なアルバム『かがやき』に収録されていて、僕は森の中を歩き回るときにこのアルバムを聴くのが大好きなんだ。素敵な声、楽器、そしてフィーリング、全部が最高! この曲とこのアルバムを聴く度に、少年のような気持ちになれるんだ。
ーアーティスト名の由来を教えてください。
Team MeはMariusが自分で曲を作り、当時所属していたバンドJaqueline以外で実験するためのプロジェクトとしてスタートしたんだけど、当時はMariusしかいなかったから、彼はそのプロジェクトを「Team Me」と名付けたんだって。Mariusはある日、Team Meとしてノルウェーの国営ラジオNRK P3が運営するウェブサイトに未発表曲をアップロードしたんだ。アップロードするとラジオ局がそのサイトの中から好きな曲を選んでラジオで流すんだけど、アップした中の「Fool」という曲が、毎年恒例の「Årets Urørt」というコンペで、年間で最も優れた10曲のうちの1曲に選ばれたんだよ。だけど受賞した曲は、イベントで何曲か生演奏をしなければいけなかった。そんなことがあってミュージシャンの友人たちに声をかけて手伝ってもらったりしているうちに、Team Meが徐々にバンドとして成長していったんだけど、今も名前は変えずに活動しているんだよね。ちなみにBjarneはJaquelineのドラマーでもあったんだ。
ーあなたにとって音楽とは何ですか?
この質問に対する答えはメンバーそれぞれ違うと思うけど、僕がみんなを代表して言うとすれば、音楽は僕たちの人生において最も重要なものの一つだね。音楽はどこか別の場所へ連れて行ってくれるもので、思い出を蘇らせてくれることもあって、今を生きるための手段でもあるんだ。セラピーの一種とも言えるし、コミュニケーションの手段でもある。他にも色々あるけど。
ー音楽をしていて良かったと思うことは?
僕たちにとってTeam Meというバンドをやっていて良かったと思うことの一つは、お互い第2の家族のような存在になれているということ。だから、一緒に音楽やビデオ、アートを作ったり、ツアーに出たりできるというのは、本当に幸せなことなんだ。
*このインタビューは2022年5月23日に発売されたVI/NYL #007のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL