#008-VRITRA

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vritra322

 


アメリカ・アトランタ出身、LAを拠点に活動するラッパー/プロデューサー。Tyler, The CreatorやFrank Oceanらを輩出したことで知られるコレクティヴ、Odd Futureのオリジナルメンバーであり、ソロとしてのシングル曲も多作な、次世代オルタナ・ヒップホップ界注目の存在。The InternetのMatt Martiansとのユニット、The Jet Age of Tomorrowとしても数々の作品を発表しており、いずれの楽曲も高い評価を受けている。ロンドンの作曲家Wilma Archerと共にWilma Vritra名義で2019年にリリースした「Shallow Grave」は、Spotifyで250万回以上の再生数を誇る。

 


 

ー最新作について教えてください。

最新アルバムは、Wilma ArcherとコラボしてWilma Vritraとしてリリースした『Grotto』。僕がラップして彼がプロデュースして、いいバランスになったね。2019年にリリースした『Burd』に続く、この2人での2枚目のアルバムで、前作は自分の人間関係や暗い感情が渦巻く思考を描いたものだった。今回の『Grotto』は反省と成長について。俯瞰すると、より明るいアルバムになったと思う。

 

ー『Grotto』の中でおすすめの一曲を挙げるとしたら?

「Every Evening」。アルバムのサウンドをよく表していると思うし、自分のアーティストとしての一般的な視点も表現できた。Wilmaと僕の音楽それぞれを紹介するのにも最適な曲。アルバム以外では「VOID!」。僕がプロデュース・作曲・シークエンスまで手がけた。自分のプロダクションスタイルとか多才さ、ソロワークのいい出発点になったよ。

 

ー初めて買った曲やアルバムは何でしたか?

初めて自分のお金で買ったアルバムは、N.E.R.Dの『In Search Of...』。MVを見て人生が変わったよ。ラップでもR&Bでもない、自分の好きな音楽を作っている黒人を初めて見たし、とても重要な出来事だった。心が揺さぶられたよ。当時はPharrellやChad、そしてStar Trakの作品に夢中だった。

 

ー子供の頃のことを教えてください。

モノを分解するのが好きだった。ゲームやコンピューターに夢中で、遊ぶというよりモノがどう動くかを見るのが好きでハードウェアに夢中だったよ。両親や親戚がいつも、僕が興味を持ったことやモノを作ったりする場所を与えてくれたんだ。子供を育てるために全面的にサポートして好きなことをさせる。それ以外のやり方は逆効果だと思う。

 

ー子供の頃から変わっていないことは?

何か新しいものをシェアしたり、強調したり、探したり、試したりしたいという欲求。物事の仕組みを理解して剥ぎ取って、再構築するのが楽しいんだ。

 

ー最近、自分は何か変わったと思いますか? 

間違いなく変わった。僕は常に変化してるよ。自己理解、アンガーマネジメント、自分の意見を言うこと、自分を信頼することなどが成長したところ。毎日が勉強と調整。人の目を通して自分の行動を見ることで、自分の枠を取り払うことができるのは子育てのおかげ。

 

ーストレス解消のためにしていることは?

ストレスが溜まった時は自分の悪癖か息子に頼る。あと母や友人とよく話すことかな。

 

ーコミュニケーションを取る上で大切にしていることは何ですか?

聞くこと、配慮すること、理解することは、コミュニケーションにおいて最も重要な要素。この3つが揃わないと、“聞いている”って感じられないんだ。

 

ーあなたの国の良いところを教えてください。

僕はどうやら地球人らしいね。この惑星は奇妙だけど、人は興味深いよ。家族はほとんどが北米のルイジアナ州とイリノイ州の出身で、僕は今はカリフォルニアに住んでいて、ここの山は気持ちいいよ。

 

あなたの夢は何ですか?

人のアイデアや視点を手助けして、自分のアイデアで知られるようになること。

 

ー今はどんな音楽を作っていますか?

今はストリングスなどのオーケストレーション音楽を多く作っていて、個人としてはエレクトロニックやヘビーシンセをベースにした作品に移行しているよ。今インスピレーションを受けてるのは、Remi Wolf、Cleo Sol、the pillows、Mr Twin Sister、SAULT、Tees Touchdown、Madonna、m-floと僕自身。

 

ーどのような環境と機材で音楽を作っていますか?

自宅が多くて、時々スタジオや他のアーティストのところで作る。Ableton Live、Maschine、QuNexusを使って、外でもかなりたくさんフィールドレコーディングをしているよ。

 

ー音楽を作る上で大切にしていることは?

常に楽しむことが一番大切。全てはエモーショナルなもので、もしそこから何も感じられなければ、私はもう終わり。

 

ーあなたにとって音楽とは何ですか?

地球上の誰もが感じることのできる数少ないもので、ある瞬間の感情のスナップショット。ジャンルを問わず、どの曲も写真のように貴重なものだと思う。

 

ー今後の活動・リリース予定を教えてください。

EyedressのプロデュースでEP『THEY ONLY LOVE YOU WHEN YOU LOVE YOU』をリリースしたばかり。短くてスローテンポ、ローファイなリリックラップで、たくさんの感情を突くと思う。あとは『Amber Windowpane』というより電子的で実験的なサウンドをブレンドしたラップアルバム。テーマは愛、願望、欲望。それらに取り憑かれたときに人を狂わせる力を表現したホラー作品なんだ。

 

*このインタビューは2022年8月10日に発売されたVI/NYL #008のために実施されました。

*写真は全てアーティストからの提供です。