#009-FELIVAND

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Instagram: @felivand

FELIVANDことFelicity Vanderveenはオーストラリア・ブリスベンを拠点として活動するシンガーソングライター/プロデューサー。2010年代のネオソウルやインディーポップミュージシャンに影響を受けたそのサウンドは、2017年のシングル「Tiresome」の発表以来高い注目を集めてきた。2018年、2020年に『In Bloom』『Nerve』と2つのEPを発表し、2022年8月に待望のデビューアルバム『Ties』をリリース。


ー音楽を始めたきっかけは?

小さい頃からずっと生活の一部でした。7歳の時にピアノを習い始め、10、11歳ごろに他の楽器にも手を広げました。その後、自分で曲を書いたり、好きなアーティストをカバーするようになりました。そして、高校生の時に学校のiPadでGaragebandを使って、音楽制作やレコーディングの世界を知り、夢中になって自分のビートを録音して制作するようになりました。

 

ー初めて聴くリスナーにおすすめの一曲は?

「Ebb & Flow」は、今まで私の音楽を聴いたことがない人におすすめしたい曲ですね。プロダクションが控えめであたたかみがあり、聴いていて優しい気持ちになれると思います。

 

ー最新曲について教えてください。

『Ties』というファーストアルバムをリリースしたばかりです。アルバムを作ってそれをバイナルにすることは私の生涯の夢だったので、完成してリリースできたということにとても興奮しました。『Ties』の各曲は“繋がり”に基づいています。私の人生においての豊かな力として、もしくはその欠如によって。このアルバムの12曲はそれぞれ、世界との繋がり、対人関係、メンタルヘルス、精神性、そして、私を支えている基盤について、私なりに探求したものです。

 

ー今はどんな音楽を作っていますか?

最近、ドラムやリズムセクションがないミニマルな曲がとても気に入っています。Frank OceanやBrent Faiyaz(※アメリカのシンガー。2020年にフィーチャリングで参加したラッパーGoldLinkのシングル「Crew」でグラミー賞にノミネートされる)のようなアーティストはとても美しく、ビートに頼ることなく魅力的な曲を作り上げ、動きを与えていると思います。同じくAriana Grandeの「Positions」も、ストリングスセクションが、実際のビートに存在していないリズム感を演出しています。

 

ー音楽を作るうえで大切にしていることは?

一人の時は、清潔で落ち着いた空間であること、そして家の中が空っぽであること。他の人と一緒にいるときは、一緒に作曲している人が誰であれ信頼して快適にいられることで、自分を正直に表現したり実験することができる安全な空間であると感じられることです。

 

ーあなたのアーティスト名の由来を教えてください。

偶然の産物なんです。曲をリリースし始める前にSoundCloudのユーザーネームが必要で、何も思いつかなかったから、自分の名前と苗字の最初の4文字を組み合わせたんです。その後、そのアカウントでデモをいくつか投稿して、みんなにFELIVANDとして知ってもらえるようになったんです。曖昧なようでいて、実はとても単純なところが気に入っています。

 

ーどのような環境や機材で音楽制作をしていますか? 

自分の楽曲の多くは、寝室の机でラップトップPCを開いて制作ソフトのAbleton Liveとオーディオインターフェースを使って録音しています。鍵盤とシンセはNord Stage 3、ボーカル録音はNeumann TLM103というマイク、ベースはCort社のオレンジ色のエレキベースを使っています。全てFocusrite社のインターフェイスに通して、残りの音や楽器はAbleton Liveの中で作ったり、サンプリングしています。

 

ーあなたが影響を受けた音楽やアートは?

コンテンポラリーR&Bとネオソウル。Kali Uchis、Solange、Frank Ocean、James Blakeなどは、私にとって衝撃的で、そういった質感やサウンドを制作したいと思っています。

 

ー初めて買った曲やアルバムは?

13歳の時に購入した、System Of A Downの「Toxicity」だと思います。

 

音楽の仕事をしていてよかったことは?

新しい曲を作っているとき、その曲が未確定の段階で、どんな方向にも行けるポテンシャルと可能性に満ち溢れていると感じるときです。また、それが他の人と共鳴し繋がったときにも感じます。何もないところから、あるいは痛みのあるところから作り出したものが、他の誰かにとって美しく意味のあるものになるというのは、時に魔法のように感じられます。

 

ー最近、自分は何か変わったと思いますか? 

自分が内向的であるという事実と折り合いをつけ、ようやくそのことに強さと美しさを見いだしたように思います。特にクリエイティブな業界では、自分をアピールし、たくさんの人に会い、コンテンツクリエイターとしての役割も兼ねるようにと言われます。疲れるけどバランスをとって、自分の個性に合った方法でやっていこうと思っています。最近読んだSusan Cain(※アメリカ・ウォール街出身の弁護士/ライター。コミュニケーションや交渉術について執筆)の著書「Quiet(※邦題「内向型人間が無理せず幸せになる唯一の方法」)」はとても興味深く、繊細だったり内向的だったりすることの素晴らしさがよくわかりました。

 

ー今後の活動・リリース予定を教えてください。

オーストラリアのツアーからアメリカに戻って、次のアルバムに向けて活動する予定です。

 

*このインタビューは2022年9月30日に発売されたVI/NYL #009のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。