#009-Saya  Gray

#009-Saya Gray

Instagram: @sayagray

 

カナダ出身、トロントを拠点に活動する日系カナダ人シンガーソングライター/マルチイントゥルメンタリスト。トロントで最も大きな音楽学校を設立した母と著名なトランペッターである父を持ち、音楽一家で育った彼女は、セッションミュージシャンとして活動を始め、Daniel Caesarのベーシストとして活躍。2022年6月にはTHE 1975などのビッグアーティストを擁する英名門レーベルDirty Hitから1stアルバム『19 MASTERS』をリリースしてソロデビュー。



ー音楽を始めたきっかけは?
私は、音楽家である両親のもと、音楽教室で育ちました。家庭内でのコミュニケーションとしてとても自然に、私と兄は生まれた時からすぐにピアノをやっていました。
ー初めて聴くリスナーにおすすめの一曲は?
「EMPATHY 4 BETHANY」。全部iPhoneのボイスメモで録音したので、一番生々しい仕上がりなんです。2番では父もトランペットを吹いているので、お気に入りの一曲ですね。
ー影響を受けた音楽やアートがあれば教えてください。
音楽やアートというよりも、最近は夜行性動物や真社会性動物にとても影響を受けています。私はいつも日が沈むとクリエイティブな作業に取り掛かるんです。そしてコウモリのエコーロケーション(※超音波の反響を聞いて地形を把握する動物の習性)の使い方に多くのインスピレーションを得ます。彼らが近くにあるものに音波を発して、跳ね返ってきた反響を利用しているところが好きです。動物が地球を利用して創造する方法は、私にとって非常に刺激的なんです。
ー最も影響を受けた人物は誰ですか?
幼少期は家族から最も影響を受けました。母とその生徒たちは、低いレベルも高いレベルも「Chopsticks」からChopinのエチュードまで、常にクラシック音楽を演奏していました。父はジャズ、R&B、ゴスペルを、兄はロック、メタル、ビバップなどの音楽を紹介してくれました。絶え間なく車輪が回転するみたいに音楽を聴いたり聴かされたりして、それが潜在意識に染み込み、私という人間の一部になっていたと思います。
ー初めて買った曲やアルバムは何でしたか?
父が買ってくれた小さなCDプレーヤーで、Charlie Grayの2004年のアルバム『Past, Present and Future』やDr.John(※ニューオーリンズ出身のブルース界の重鎮。2019年に逝去)、Ry Cooder(※カリフォルニア出身のカントリーブルースやアメリカンルーツミュージックの伝説的ギタリスト)、あとNirvanaもよく聴いていましたね。
ー音楽の仕事をしていなかったら、何をしていたと思いますか?
100%、森でヤギや動物と一緒に仕事をしているでしょうね。
ーどのような環境で、どのような機材を使って音楽を制作していますか?
iPhoneをよく使っています。主に、曲が生まれた瞬間をそのまま使うのが好きなので。あとはかわいいベースをいっぱい持っています! 今はトロントのメーカーのF Bass社のアッシュとメイプル材で製作されたBN5シリーズという五弦ベースとドイツの名門Höfner社が作っているセミエレクトリックに夢中です(笑)
ー子供の頃のことを教えてください。
かなり変わった、静かで観察力のある子供でした。私が住んでいた地域ではハーフの日本人は受け入れられず自分の世界にいつも引き込もっていて、人種差別の影響を非常に強く受けながら育ちました。
ー子供の頃から変わらない部分は?
内向的なところです。私は普段から一人でいるのが好きで、それは今も変わっていません。
ー若い頃の自分に何かアドバイスができるとしたら?
地球を利用する力と、海に足を浸して母なる大地の響きを感じる方法を教えてあげたいですね。
ー最近ハマっていることは何ですか?
Uncle Tetsuのチーズケーキ(※『てつおじさん』のチーズケーキ。スフレタイプの日本式チーズケーキが世界的に流行している。西日本で有名)。ふわふわで雲のようでありながら、しっかりとした歯ごたえのあるおいしさがあるんです!!!!
ー出身地トロントの好きなところを教えてください。
トロントのファストフードは最高においしいですよ。特にヌードルやバオのお店の多さ、最高です。ぜひ食べに行ってほしいですね。
ー好きなファッションブランドは何ですか?
ISSEY MIYAKEはずっと好きです。MICHIKO LONDON、JUNYA WATANABEも。日系移民のカナダ人の母のもとで育ったので、いつも日本のファッションにが興味があり、ずっと好きですね。
ー最新アルバム『19 MASTERS』について教えてください。
『19 MASTERS』は、ツアーミュージシャン、そして音楽業界に身を置く女性としてだけでなく、アーティストとして自分の従順さとの戦いを貫き通した、私のこれまでの旅について書いたものです。
ー今はどのような音楽を作っていますか?
今、鳥の鳴き声やボウリングの音にハマってます。自然が生んだ音!
ー音楽を作るうえで大切にしていることは何ですか?
誠実さです。きちんと自分自身の言葉で伝えられているか確認すること。
ー次のリリース予定や今後の活動について教えてください。
いくつかライブを計画しているのでとても楽しみです。

PHOTOGRAPHY : JENNIFER CHENG

 *このインタビューは2022年9月30日に発売されたVI/NYL #009のために実施されました。

*写真は全てアーティストからの提供です。