Francis of Delirium
Instagram:@francisofdelirium
ルクセンブルグ出身の90年代グランジとZ世代のDIY感覚を巧みにミックスしたデュオ。ゼロ年代生まれの才女Jana Bahrichの思慮深さを窺える歌声とリリックを、Janaの30歳年上のドラマー/プロデューサーであるChris Hewettの手によってヘビーで深みのあるサウンドに昇華。このミックス感覚は確かになかったかも。
ーあなたが住んでいるところは?
ルクセンブルクに住んでいるんだけど、ここはちょうどヨーロッパの中心に位置するちょっと面白いエリア。ヨーロッパのメジャーな街に2時間以内でアクセスすることができるのに、他の場所から隔離されたようにも感じるめちゃくちゃ美しい街よ。街の中心部から自転車で15分も走ればすぐに田舎っていうのも、すごくクールだと思う。
ーまわりの音楽シーンのトレンドは?
ルクセンブルクという場所は、様々な人種がいるメルティングポットみたいなところ。今のところ、「ルクセンブルク」という明確なサウンドはないんだけど、この前ポッドキャストを聴いていたら、ソングライターのRoss GolanがPeter Framptonにインタビューしていたの。彼はラジオ・ルクセンブルクをよく聴いていたそうね。良いものを共有するのが得意な国よ。
ー音楽を始めたきっかけは?
小さい頃から音楽に惹かれてて、5歳の時、思い付きで母親にバイオリンを始めてもいいか聞いてみたの。きっかけは『Zin! Zin! Zin! A Violin』という絵本を読んだからだと思う。それから、毎晩『Mr.Bach Comes to Call』というCDを聴きながら寝ていたので、そういう幼少期の体験が音楽に興味を持つきっかけになったのかもしれないな。
ー今どんな音楽を作っている?
シューゲイザーとグランジが混ざったような感じの音楽かな。
ー制作のインスピレーション源は?
色々なところから受けるよ。母はいつもクールな新しいアーティストを見つけてはシェアしてくれるし、インスピレーションを得るときは大体いつものルーティンから離れて、少し違う視野から制作に取りかかるときかな。
ー影響を受けた人・メンターは?
協力者のクリスがメンターのような存在よ。彼は人生の大半をクリエイティブな仕事(ゲームなど)に費やしてきたから、色々とためになることを教えてくれるし、いつも作曲活動をサポートをしてくれる。
ー気になっている社会問題は?
気候変動について。 最近、ルクセンブルクとドイツで危険な大洪水が発生したの。多くの人々が命を落とし、家や生活の糧を失った。こういった大規模な悲劇が身近で起きたことで、気候変動について議論し、積極的に変えていかなければならない重要な問題だと感じたの。
ー幼い頃から変わらない自分の性格は?
今でも子供のように、世界を不思議に思っていること。
ー注目しているファッションブランド。
特にないかな。自分が持っているほとんどのものはスリフトショップで済ませていて、グッときたものやクールに見えるものを手に取ってる。
ー気になっている音楽ジャンル。
最近は、クラシックというか、言葉のない音楽をよく楽しんでる。先日、ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団によるドヴォルザークの交響曲第8番の演奏を聴きに行ったの。すごく美しく、ライブで聴いて大興奮だったので、ここ数週間はこの曲を繰り返し聴いてるよ。
ー音楽を聴くときに使う機器は?
何年も前に購入したSONYのヘッドホン。最近になって低音がすごく良いことに気付いたので、家で音楽を聴く時はいつもヘッドホンで楽しんでる。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
9月8日に新曲「Come Out and Play」を出したのと、10月には「All Love」をリリースする予定。
Steve Reich をよく聴くようになったのは、主にSufjan Stevensの影響から。確かインタビューで「Music for 18 Musicians」が彼のアルバム『Illinois』に影響を与えたという記事を読んだの。木琴の音には何かとても瞑想的で落ち着く感じがして、いつもこの作品に没頭することができる。
この曲を表現するのに最適な言葉は「満足」だと思う。すべての楽器、すべてのボーカルのメロディーが完璧に収まっていて、意図的に作られている感じがする。この曲はとてもシンプルだけど、強烈にパンチが効いてる。ここ1年間、毎週この曲を聴いる感じ。
「In Your Eyes」Jessie Ware
この曲のベースラインは信じられないくらいすごい、一曲を通して飽きることなくめちゃくちゃ印象的。
Jessie Wareのボーカルも完璧。アルバムも全体的に素晴らしく、去年のお気に入りの一つよ。
*写真は全てアーティストからの提供です。
掲載号:VI/NYL#001(2021年9月28日発売)
■VI/NYL