LoneLady
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マンチェスターを拠点に活動するジュリー・キャンベルによるソロプロジェクト。ポストパンク、ニューウェイヴに深く傾倒。WARP Records創設者Steve Beckettの目に留まり、2010年にリリースしたデビューEP『Nerve Up』が高い評価を獲得。近年は、エレクトロ要素を多用し硬度の高い楽曲が多く見られる。
ーあなたが住んでいる町について教えてください。
イギリス・マンチェスターのアッシュトンというエリアに生まれて、オーデンショウ(マンチェスターの東7.9kmほどの距離にあるテームサイドのマーケットタウン)の都心につながる高速道路沿いの高層マンションで育ちました。産業革命時代から続く工業都市としての形跡がいたるところに残り、工場、運河、雑草という郊外のロケーションがお気に入りです。町は現在ヨーロッパの建築改造ブームの最中で、これから著しく変化していくでしょう。
ーまわりの音楽シーンのトレンドは?
いろいろな音楽シーンが動いていますよ。The White Hotel(イングランドのグレーター・マンチェスターに位置する大都市サルフォードにあるナイトクラブ)というスペースが好きで、テクノやコールド・ウェーブなど最先端の音が集まるイベントがいつも開催されていて、刺激を受けています。
ー音楽を始めたきっかけは?
もともと小さい頃は絵を描くのが好きで、その後自然にいろいろな楽器に興味が広がりました。大学でファインアートを専攻した際に、TASCAMのカセットMTR4 track cassette recorderを購入し、自分の音楽を作り始めたことがきっかけでした。この時にマルチトラック・レコーディングの基本的な原則を知れたのは良かったですね。
ー今はどんな音楽を作っていますか?
最新アルバム『Former Things』の制作中に、意識的にたくさんの電子機材を取り入れました。いつも通りにギターを使って作曲するのではなく、アナログのMIDIシーケンサーにARP ODYSSEYやKORG MS-10など1970年代の往年のものを含めたいくつかのアナログシンセサイザー、または数多くのドラムマシンとサンプラーを組み合わせて作曲しました。
ー制作のインスピレーション源は?
いつも自分の周りの環境にインスパイアされています。環境が人格に大きな影響を与えることについて興味を持っていて、ポスト工業化の都市、ブルータリズムの建築、荒れ地など、人口的なものもオーガニックなものも含めて環境のこういったところに強く惹かれ、自分の音楽とリリックのインスピレーションになっています。そういった意味でも、私が生まれ育った町であるアッシュトンからは多くの影響を受けていると思います。
ー幼い頃から変わらない自分の性格はありますか?
自分のコアな部分は昔からさほど変わっていないと思いますが……。ちょうど、最近リリースしたアルバム『Former Things』の同名曲でも子供の頃の記憶を探り、キラキラしている幼少期の思い出を振り返ったので、そのリリックの内容には私の幼いころの感覚が反映されていますね。いちアーティストとしては、子供みたいな好奇心をいつまでも持ち続けることはとても重要だと思いますね。
ー注目しているファッションブランドを教えてください。
Alexander McQueen、Stella McCartney、Vivienne Westwood、Armani、Helmut Lang、これらのブランドを着るのは素晴らしいことだと思うわ。
ー気になっている音楽ジャンルは?
これまでエレクトロ、テクノをたくさん聴いてきました。一方でドラムマシンとドラムプログラミングも好きなので、ビートをベースにしたミュージックが好きですね。ローファイ・ポストパンクやコールド・ウェーブ、またはBandcampでその時のムードに合うような曲も気ままに聴いています。
ー音楽を聴くときに使うガジェットは何を使っていますか?
家ではラジカセで自分の音楽を聴いています! Sennheiserの高価なヘッドホンもいくつか持っていますが、やはり気軽に音楽を聴きたいので、アナログでクラシックな機材も好んで使っています。ローファイでも全然楽しめますね。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
ニュー・アルバム『Former Things』を6月25日にリリースしたばかりなので、皆さん、ぜひ聴いてみてください!
【RECOMMENDED TUNES】
「You Are The Everything」R.E.M
音楽を始めた頃にはUSのオルタナティブ・ロックバンドR.E.M.、特にリードボーカルのMichael Stipeがすごく好きでした。奇妙な歌詞が自分に強い印象を与え、自分のDNAに刻まれた曲ですね。
『O’ Magic Power Of Bleakness』に収録されている素晴らしい楽曲。いつも自分のDJセットで最後の曲として選んでいます。本当に美しい曲で、圧倒されました。
「All In Vain」Richard H. Kirk
シェフィールド発の代表的ユニットRichard H. Kirkによる激しいテクノサウンド。Cabaret VoltaireとRHKのソロ作品も好きで究極に独創的な作品です。
*写真は全てアーティストからの提供です。
掲載号:VI/NYL#001(2021年9月28日発売)
■VI/NYL