Girls of the Internet
Instagram:@girlsoftheinternetmusic
RAMP Recordings(後期)やFORTH WAVEの創設者Tom Kerridgeのプロジェクト。ディスコティックなハウス・ミュージックでUKシーンを席巻。BBC 6 Musicの“Album Of The Year”、Apple Music/Beats Oneの“One Mix”シリーズでのミックス、James LavelleのUNKLEプロジェクトとのコラボなど各方面から高い評価を得ている。
ー音楽を始めたきっかけは?
音楽は私の初恋。音楽以外のことも試してみましたが、どれもうまくいかなかった。私が音楽でやっていけると思っていなかったので、ビジュアルアーツの分野で学んでキャリアを築きたいと思っていました。なんとなく一番抵抗の少ない道を選んでいたら、ここに辿り着いていました。
ーグループ名の由来は?
Eighties Ladiesと、彼女たちの『Ladies of the Eighties』というアルバムにならって名付けました。有名ではないけれど素晴らしいシンガーが集まったグループ。Roy Ayersが彼女たちを集めて、1980年に一風変わったアルバムを制作しました。別世界からやってきた謎の存在感があるジャズ風ガールズグループで、いつも心惹かれています。彼女たちの写真は多分2枚しかないはず。幽霊にも見える夢のような写真で、ミステリアスな世界観が印象づきます。グループの中でもSylvia Striplinは有名で、彼女の『Give Me your Love』というアルバムはずっと大好き。
ー影響を受けた音楽やアートは?
ビジュアル面では、Leigh Bowery、Rammellzee、Francis Bacon。音楽面では、90年代のシカゴ・ハウスですね。例えばCasual and Guidance、Daft Punkの『Homework』、Stereolab、Luther Vandrossの楽曲やアレンジ、Basic Channel、Brian EnoとTalking Headsの共同作品など。
ー最もおすすめの自分の曲は?
「When U Go」です。初めてフルで作ったシングルで、私たちの一番の人気曲。ライブで演奏すると、みんなが大きな声で一緒に歌ってくれます。
ー今どんな音楽を作っていますか?
何かからインスピレーションを受けるというよりも、自分たちの音を刻んで、さらに発展させることが今の制作のモチベーションになっている。
ー音楽を作るときに大事にしていることは?
他の人が作っているような音楽は作りたくないんです。ただ自分が正しいと思う音楽を作っています。ハウスミュージックが制作の外枠になっているけど、その枠の中で何か個性的な要素を加えたい。ハウスやエレクトロは、DJが今週プレイしたら次の週には忘れてしまうみたいなトラックじゃなくて、長い命が宿る本物の音楽にもなりうるんです。
ー音楽制作環境について教えてください。
たくさんの楽器や声、シンセを録音して、Ableton Liveに落とし込みます。古いドラムマシーンをサンプラーを使ってワープさせたりもする。
ー影響を受けた人は?
私のボスのLuke Solomonです。彼と私はこの業界で似たような経歴を持っているけど、彼の方がさらに上のレベルにいます。一緒に制作できてとても嬉しい。
ー最近気になったアーティストは?
アーティストよりも、楽曲自体に注目するタイプです。最近リリースされた、Hiro Amaの「Autumn Changes」が好き。Blawanのニューシングル「Under Belly」も良かったですね。Galcher Lustwerkにはいつも感心させられます。彼の「Barnsby」という新曲もいいです。
ー最初に買った音楽/アルバムは?
アーティストは自分をかっこよく見せるために、この質問でよく嘘をつくんじゃないですか?(笑) 子供の頃聴いていた音楽なんて全然かっこいいものじゃない。記憶が曖昧ですが、Teenage Mutant Ninja Turtlesのサントラが最初に購入した音楽だったかと。当時その映画に夢中で、関連するグッズは全部買っていましたね。それより前は、兄弟のMadonnaのレコードをこっそり奪って、安いレコードプレイヤーでスクラッチしたり。
ー幼い自分へのアドバイスするなら?
他人を助けようとする前にまず自分のことをしっかりと。人に踏みにじられないように。他人の言いなりにならない。
ー最近の自分は変わった?
Girls of the Internet自体が私の人生の変化に伴って始まったので、全てが変化の上で成り立っています。失敗と崩壊など、数々のトラウマ体験の後にこのプロジェクトを始めました。そこを生き抜くのは大変だったけど、今はとても幸せです。
ー最近のいいニュースは?
7月のデビューライブがソールドアウトになったこと。
ー最近興味を持ったこと。
今、NFTを取り入れようとしています。音楽業界はあまりNFTの可能性を重視していないかもしれないですが。この業界がデジタルに対して反応が遅かったのと同じような感じですね。それが音楽の大不況につながったんですよ。
ー最近気になっている社会問題は?
今世界を取り巻くエネルギーって圧倒的です。#metooムーブメント、虐待者のキャンセルカルチャー、BLM、クィアのアートやアーティストが世界的な規模で認識されていることなど。以前の音楽業界は、ミソジニーが蔓延っていて、自分が惨めに思えるようなところだったけど、今はより多くの女性やクィアアーティストがこの場にいることで、大きな安心感があります。全員が生きやすい世界を作っていけたらいい。
ー次のリリース情報について教えてください。
『When I Was Lost, I Found Myself』というタイトルのアルバムがまもなく完成!
*写真は全てアーティストからの提供です。
掲載号:VI/NYL#002(2021年12月30日発売)
■VI/NYL