#004-Men I Trust

#004-Men I Trust

Men I Trust

Instagram@menitrust

 

カナダ・ケベック州を拠点に活動する3人組、現代のインディー・シーンを象徴するポップバンド。2014年にキーボーディスト&プロデューサーのDragos、ベーシストのJessy2人で結成、追って2016年にリードボーカル&ギタリストのEmmaが加入。ポップでクールなローファイサウンドに、Emmaのハスキーでキュートなボーカルが魅力。最新アルバム『Untourable Album』は、メロウネスに磨きがかかりサウンドの幅も広がった過去最高傑作。

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INTERVIEWEE : EMMA (Vo./Gt.)

 

ーバンドの活動拠点について教えてください。

私たちはカナダ・ケベック州の郊外に住んでいます。ここは時間の流れがとてもゆっくりで、すぐ近くに自然もあるし、平凡な毎日を楽しんでる。夏は散歩や水泳、冬には暖炉を楽しんだりできるスポットがいっぱいあっていいところ。音楽制作は自分たちのホームスタジオでやってます。

 

ー音楽を始めたきっかけは何ですか?

メンバーはみんな、幼い頃から音楽を聴いたり作ったりしてた。親の影響もあったりもするけど、みんな元々音楽好きで、パソコンをいじりながら過ごす時間も好きでした。

 

ー現在はどのような音楽を作っていますか?

今は70s80sのアップビートな音楽を作ってます。

 

ーインスピレーション源について教えてください。

クラシックやジャズ、そして10代の時によく聴いていた音楽(映画、ゲーム音楽を含む)からインスピレーションを得てます。やっぱり10代の時に発見して楽しんできた音楽って、自分たちが生きている間は永遠に心の中から消えないものだと思う。

 

ー近々リリースされる曲はありますか?

825日に最新アルバム『Untourable Album』をリリースしたばかりで、とても満足しています。今は何曲か制作をしているんだけど、米国ツアー終了後の2022年にショートEPをリリースしたいと思ってる。まだ未定だけどね。

 

 

ーあなたにとってのメンターはいますか?

私たちのオーディオエンジニアで、ラヴァル大学のレコーディングスタジオの責任者でもあるんだけど、バンドが結成したての頃からお世話になっている人。彼には本当に色んなことを教えてもらったし、どうやったらオーディオミックスの“幅”と“深み”が聴こえるのかも彼から学びました。これを独学で学ぼうと思ったらきっと10年以上はかかるから、教えてもらえて本当によかったです。

 

ー最近注目している社会問題について。

エネルギー危機が及ぼす問題と、その解決策に関心があります。特に再生可能エネルギーと原子力エネルギーの発展にすごく興味がある。最新の進歩を目の当たりにできることはとてもエキサイティングだし、この危機から脱出するために努力をする素晴らしい人々に感謝しています。

 

ーバンドでいる時とソロでいる時の違いはなんですか?

ソロ曲はバンドがお休みしたタイミングで1曲だけ出したんだけど、実際ソロで活動してる時とバンドで活動してる時の違いはそんなにないですね。3人でいる時は3人の音だし、1人の時は1人の音っていうだけで。でも、バンドの時の方がより音が磨かれている感じはしますね。

 

ーバンドはソロ活動の前からあったんですね。

そう、バンドはソロ活動前から存在してたんだけど、少しの間お休みしていて。その時に自由時間を使ってソロ活動をしてたんです。活動が終わった後、周りに“いつ音楽作りを再開するの?”ってすごく聞かれたけど、実際ソロが終わった後も、ずっとMen I Trustというバンドの中で音楽作りは続けてた。

やっぱりバンドのみんなでいる方が音楽をいっぱいできるし、3人でいる方が好きだから今の状況にとても満足してますね。これからソロはやらないってことではないけど、今はMen I Trustとしての活動に専念してます。

 

ーメンバーそれぞれの性格を教えてください。

ジェシーはおちゃらけ者って感じ。クラスの中のいたずらっ子みたいな。『Oncle Jazz』のカバーもジェシーが描いたんです。学生の時に先生を困らせるために描いた絵らしいんだけどね(笑) いつも冗談ばっかり言って、曲もそんな軽い感じで作っちゃう。

ドラゴスも面白いんだけど、彼はどっちかというとコンピューターオタクで、化学とか哲学が大好き。ドラゴスは静か担当でジェシーが面白担当って感じかな。私はシチュエーションによってシャイな時もあれば社交的な時もあるんだけど、基本的にはおっちょこちょいで、よく公の場でミスをしちゃいます! 

不器用でぎこちないのが私(笑)

 

 

ーシングル曲「Tides」はどこか悲観的な雰囲気が漂ってますが、パンデミックのことを歌ってるんですか?

うーん、どっちかというと絶望感かな。でもその中に希望もたくさん入ってたりして。世界が私たちに感じさせる不安感から守ってくれるような曲です。

 

ー今の世界の状況についてどう思いますか?

今、私たちみんな悪い状況と戦ってると思うんだけど、そんな中でも世界の中の素晴らしいことに視線を向けることが大事だと思う。確実にモチベーションになるし、やっぱりネガティブなことよりもポジティブなことにフォーカスする方がいい。あまり先を見すぎず、今を楽しむこと。できるだけポジティブでいられるように頑張ろう!

 

ー「Tides」は宗教的な要素も感じます。

そうですね、カトリックを連想させる言葉は少し入ってるんだけど、宗教的な意味合いというよりは、そのカルチャーを表すような意味合いです。でも、もうこれ以上言わないことにする! この曲のメッセージは、みんなに自分なりの解釈をしてほしいから。

 

ーどのように聖書の要素を曲に入れてるんですか?

歌詞の中の“A hundred forty-four by thousands”というのは聖書に関係する数字。でもこれ以上は言わない!(笑) さっきも言ったけど、カルチャーを表す意味合いで入れてるんです。元々その数字の存在は知っていて、この曲のトーンに合わせて入れたかった。

 

ー最新アルバム『Untourable Album』はパンデミックの真っ只中で作られたということで、アルバム制作はいつもより自由にできたと思いますか?

もちろん! 外に出られなかったから時間の余裕もあったし。元々はアルバムを作る予定はなくて、ただ自由に音で遊んでいただけなんだけど、そうこうしてるうちに、いつの間にか13曲も出来たことに気づいて。こんなに曲があるのに私たちだけで楽しむわけにはいかないということで、アルバムをリリースすることになったんです。

それぞれが自分の時間をゆっくり過ごしながら出来た曲たちだから、今回のアルバムはいつもよりパーソナルというか……内省的な部分があるかな。

 

ーポートレート写真家の巨匠、リン・ゴールドスミスが撮影した写真をカバーに使った理由は?

長い話になっちゃうんだけど、私とドラゴスが5年前くらいに古着屋で買い物をしていて『A day in a life of Canada』という本を見つけたの。それを買ったんだけど、中には素敵な写真がいっぱい並んでいて、ちょうど真ん中らへんのページに、『Untourable Album』のカバーになった写真がプリントされていたんです。

見た瞬間に2人とも“この写真最高だね。使えたらいいのに!”ってなって。でも、この本を見ていくと全ての写真が有名な写真家たちの作品で、私たちはまだ無名のバンドだったから写真を使うことは不可能だと思ったんだけど、深く考えずにとりあえずライセンス申請してみた。そしたら、驚いたことにリンがその写真のライセンスを譲ってくれて、結果的に写真を使うことができたんです!

 

ーリンの写真を使用できるとわかった時どんな気持ちでしたか?

もちろんすごく嬉しい! あとその写真がカナダで撮られたものっていうのも運命を感じたし、そもそもリン自体がアイコニックだしね。

Michael JacksonPatti SmithAndy Warholのようなレジェンドをいっぱい撮影したということもそうだけど、私は彼女が撮ったということを知る前から彼女の写真が大好きだった。だからライセンスを譲ってくれてすごくありがたく思ってる!

 

 

ー1、2年ライブをできなかったことにストレスは感じなかった?

ライブで演奏するのが恋しい時はもちろんいっぱいあったけど、逆にその中でも良いこともいっぱいあった気がする。私たちは街を出て、時間をかけながら音楽を作ることができたからすごくラッキーだった。

でも早くツアーを再開してステージに戻りたいと思ってるよ。もうすでにカナダで34回ライブはしたんだけど、とにかく最高だった! 久しぶりだったから緊張するのかと思ったんだけど、私もメンバーたちも素直にエンジョイすることができて、なんというか今まで感じたことのない幸せを味わった気分。久しぶりに実家に帰ったり、長年会ってなかった親友に会う感覚? お客さんのみんなもすごく盛り上がってくれたからすごく嬉しかったし、最高のパーティーだったよ。これから状況が良くなったら、アメリカでもライブをする予定だから楽しみ!

 

ー久しぶりにファンの前でライブをして、観客のエネルギーに変化を感じましたか?

うん、長い間みんなのエネルギーを感じることができなかったから、久しぶりにみんなを目の前にして、どれだけ素敵な感覚だったのかを再確認できた。ニンテンドーのリセットボタンを押して新しい世界に飛び込んだ気分(笑)

 

 

ーもうすぐ南アメリカツアーがありますよね。

うん、待ちきれない!

 

ー日本ではライブしたことはありますか?

うん、東京でライブをしたことがあります!

 

ーフェスで?

フェスで演奏する予定があったんだけど、コロナでなくなってしまったの。日本は大好きだからすごく残念だった。だけどコロナが拡散する2カ月前くらいに東京でライブをしたよ。

 

 

ー自分たちの音楽やアルバムの中で一番のお気に入りは?

お気に入りは最新アルバム『Untourable Album』。今までで一番満足していて、最高傑作だと思ってる。特に「You deserve this」という曲はライブで歌うのがとても好き。歌っていると落ち着くし、すごく気分を良くしてくれるから。

 

ーMen I Trustのことを知らない人にアルバムをおすすめするとしたらどれを選ぶ?

うーん、これも最新アルバムかな。やっぱり一番満足しているし誇らしく思うから。このアルバムは私たちを多方面から知ることができるし、私たちの進化も感じることができると思うの。私たちのことを知らない人はこのアルバムから手にとってほしいです!

 

 

*このインタビューは2021年12月30日に発売されたVI/NYL #004のために実施されました。

*写真は全てアーティストからの提供です。

 

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