upsammy
Instagram:@thessa.upsammy
オランダ・アムステルダム出身のDJ、シンガー・ソングライター。エレクトロやIDMからインスパイアされ、冒険的で物語的なアプローチと環境や空間デザインなどからイメージされた全く新しいエレクトロニック・ミュージックは、独特の美しいメロディーラインと複雑なリズムを生み出している。最新EP『Bend』では、彼女の音楽性が実験的に再現されている。
ー音楽を始めたきっかけは?
音楽を始めたのはかなり子供の頃で、最初はバイオリン、次にギター、その後、パーティーに行くようになってからは、エレクトロニック・ミュージックを作るようになりました。高校時代はバンド活動をしていたけど、エレクトロニック・ミュージックに出会った時、まったく新しい世界が広がって、そこが自分を一番表現できる場所だと思ったので。
ー自分の曲の中で一番おすすめの曲は?
「It Drips」。この曲を選んだのは、私がアーティストとしてやろうとしていることを最もよく表しているから。この曲は、環境と自己が融合し始めることを描いていて、小川の音とささやくような声が聞こえてきます。
ー最新のアルバムについて教えてください。
最後にリリースしたEPは『Bend』というタイトルで、この作品では、様々な素材が曲がっていく様子をイメージした、とてもテクスチャー的なトラックへのアプローチをしています。また、Sweepsculpという別名義でもEPをリリースしたんですが、ここでは、ギターと私の声、そしていくつかのドラム・サンプルだけを使用したんです。ギターをデジタルで操作することで、たくさんの面白いサウンドを発見できました。
ー今はどんな音楽を作っていますか?
先ほどお話したようなアイデアを基に新しいアルバムを制作中です。とても質感があり、絶えず変容している奇妙な環境のような感じですね。フィールド・レコーディングを通して、自分の周りの環境を探っています。
ー音楽を制作する上で大切にしていることは?
彫刻のような感覚を持つこと。曲の構成や楽器の配置を考えるのではなく、素材や環境を形成していると考えること。
ーアーティスト名の由来は?
オランダの「Sammy」という曲です。歌の中で歌手がサミーに「Look Up」と言っていて、若い頃、この曲がとても好きだったので。
ーあなたにとっての音楽はどんな存在ですか?
隠れた感情やアイデア、周囲の環境、そしてそれらが互いにどのように関連しているかということを考えるためのアプローチです。
ー影響を受けた作品は何ですか?
2000年代前半のIDMに影響を受け、空間デザイン、ランド・アート、ランドスケープ・アーキテクチャーが好きです。
ー影響を受けた人は誰ですか?
たくさんの人がいますが、一番は、エレクトロニック・ミュージックが流れるパーティーに連れて行ってくれた高校時代の親友です。
ー音楽活動をしていて良かったことは?
音楽は誰にでもアクセスできるものなので、例えば、アートを見る場合とは全く異なります。誰もが世界中のどこにいても、あなたの音楽に出会い、それを聴き、あなたが作り出した全く異なる環境の中にいれるということ。
ー最近気になっているアーティストは?
Pent、Flaty、Ben Bondy、Ziur、Mark Fell、その他にもたくさんいます。
ーどんな環境や機材で音楽を作っていますか?
スタジオでは主に箱の中で作業していますが、小さなモジュラーセットアップ、グロッケンシュピール(鉄琴)、Analog Rytm、Octatrack、MIDIキーボード、ピアノ、ベースギターを使用しています。
ー幼い頃はどんな子供でしたか?
子供の頃は冒険好きで、外に出て探検したり、穴を掘ったりするのが好きでした。内気な性格だけど乱暴者だったかな(笑)
ー幼い頃の自分にアドバイスするなら?
今やっていることを続けて、これを後々の人生に生かすようにしてください。
ー趣味は?
発酵、チェス、ものづくり、韓国料理。
ー最近ハマっているものは何ですか?
スペイン語圏の犯罪ドキュメンタリー番組を通じてのスペイン語学習。
ー最近関心のあることは?
ラ・パルマ島の火山噴火。この映像には何か磁力を感じます。
ー最近気になっている社会問題は?
オランダでは今、非常に大きな住宅問題が起きていて、住宅価格が高騰し、アムステルダムで手頃な価格の住宅を見つけるのは非常に困難な状況です。同時に、クリエイティブな拠点が都市から追い出されています。政府は、文字通りひとりひとりが居場所を持ち、生活環境づくりに積極的に参加できるような社会を構築する方法を考え始めることが重要だと思います。都市デザインは、社会的不平等を解消する上でも大きな意味を持つと思う。
ーコミュニケーションで大切にしていることは?
透明感。
ーイライラしている時、余裕がない時の解消法は?
音楽を聴く、ヨガをする、ランニングをする、料理をする。
ー夢は何ですか?
サウンドや音楽を使って新しい場所をデザインすること、またその逆も然りです。また、ヤギのいる農場に住み、庭に音楽スタジオを持つことです。
*このインタビューは2021年12月30日に発売されたVI/NYL #004のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL