#008-Hans.

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Instagram:@kim_yun_tak

ニュージーランド・オークランドを拠点に活動するラッパー/トラックメイカー。主にSoundCloudで楽曲の発表を行っていたが、2017年に米シンガーClairoをフィーチャーしたシングル「Froyo (feat. Clairo & Aso)」がSpotifyで発表されると大きな話題を呼び、若手ながらもNZを代表するラッパーへとブレイクスルーを果たす。その後も精力的に楽曲を発表し続け、2022年3月には最新アルバム『kimyuntak』を発表したばかり。


ー音楽を始めたきっかけは?

14歳の時、友達がThe Notorious B.I.G.の曲をMac MillerのビートにリミックスしたYouTube動画を観せてくれたんだ。その時初めてラジオで流れていない音楽に触れてヒップホップを知ったよ。聴いた瞬間から好きになって、すぐに自分でも音楽を作り始めたんだ。

 

ーどのような環境と機材で音楽を作っていますか?

主に自宅のスタジオで音楽を作っていて、ベーシックなセットアップで、ほとんどのボーカルはコンデンサーマイクMXL990を使って録音してるんだ。そのマイクは2016年から持っていて、今年の初めにアップグレードしようと思ったんだけど結局できなかった。僕はあのマイクに忠誠心を抱いてるんだと思う。

 

ーあなたが影響を受けた音楽やアートは?

韓国の民族音楽が大好き。生々しく、正直な音楽で、自分の物語を書くときに、より深く掘り下げるインスピレーションを与えてくれる。音楽以外では、ビジュアルアートが好きで、ギャラリーや展覧会に行くのが好き。ファインアートについてはあまり詳しくないけど、様々なアーティストのストーリーや作品の背景を知ることで、いつもインスピレーションをもらっているよ。それからミュージックビデオを観るのも好きで、一日中YouTubeを観ている日もあるくらいなんだ。

 

ー影響を受けた人物は?

僕の祖母はいつも僕の音楽活動を応援してくれて、どんな時でもそばにいてくれた。僕が知っている人の中で一番優しい人だと思う。

 

ー初めて買った曲やアルバムは何でしたか?

12歳の時に買ったMidnight Youthというニュージーランドのロックバンドのアルバムだったかな。当時はラジオと『C4』という音楽専門チャンネルでしか音楽が聴けなくて、いつもテレビで彼らの映像を観てた。

 

好きな言葉は?

아이고 ー 英語でいうところの“oof”。友達からは“平然としている”って言われるけど僕にとっては簡単な反応だよ。なるようになるからね。

 

ー音楽の仕事以外に別の仕事をしていますか?

クリエイティブ産業の修士号を持っていて、研究者として音楽産業政策について研究をしているよ。

 

ーもし音楽の仕事をしていなかったら?

教師か講師になっていると思う。

 

ー音楽をしていて良かったことは何ですか?

ライブができること。音楽を作って発表するのも好きだけど、ライブで人に聴かせる感覚は、何事にも代えられないね。

 

ー昔の自分にアドバイスを。

自分を大切にすること。無謀な生き方はかっこよくないし、あなたをより良いアーティストにすることは決してないから。

 

ーあなたの夢は何ですか?

満足すること。いつかそんな境地に達したい。

 

ー音楽を作る上で大切にしていることは?

作曲の観点でいうなら正直であることが最も重要。音楽全体に対してなら、技術的な才能よりもフィーリングやエネルギーを常に大切にしているよ。どんなに音楽的な才能があっても、そこにフィーリングがなければ何の意味もないからね。

 

ーあなたにとって音楽とは何ですか?

僕にとって音楽は平和そのものなんだ。陳腐に聞こえるかもしれないけど、音楽を聴いているときが一番安らぎを感じる。

 

ー最新作について教えてください。

3月にアルバム『kimyuntak』をリリースしたばかり。僕の名前は“キム・ハンジュ”なんだけど、両親は元々僕に「キム・ユンタク」と名付けようとしてたらしくて、その名付けられなかった方の名前をアルバムのタイトルにしたんだ。このアルバムは、自分がどうあるべきか、誰であったかという観点から、自分自身の中で平和をつくるということを表現している。僕たちは時々、人生における全ての“もしも”の瞬間を考えることに囚われ過ぎているように思う。そんな考え方と戦い、今この瞬間に安らぎを見出すことを象徴しているんだ。

 

今はどんな音楽を作っていますか?

最近はハウス系の音楽をよく作っている。2021年にPark Hye Jinがドロップした、ハウス、ダウンテンポ、トラップを融合させたサウンドにかなり影響を受けた。それから、K-POPグループBalming TigerのメンバーでもあるOmega Sapienの音楽とビジュアルにおけるエクスペリメンタリズムも好きで、ヒップホップをルーツにしながらも、ハウスやダンスの要素と自分のサウンドを融合させるのが楽しくて仕方ないね。「Be Grateful」や「Nelele」は僕にとってとても重要な曲だから、その2曲が収録されているという点でも、今回のアルバムはとても気に入っているよ。

 

ー今後の活動・リリース予定を教えてください。

今、たくさんのシングル曲と一緒に、新しいEPを制作しているところなんだ。またライブ活動も始めたいし、海外ツアーもしたい。できれば日本も含めてアジアツアーをしたいと思っているよ。

 



*このインタビューは2022年8月10日に発売されたVI/NYL #008のために実施されました。

*写真は全てアーティストからの提供です。