#009-1000Beats

#009-1000Beats

Instagram: @1000beasts

アイルランド出身のCian Sweeneyによるソロプロジェクト。全てのトラックで異なるアーティストとコラボレーションし、ソウルからR&B、オルタナティブ、エレクトロニカなど、幅広いジャンルの楽曲を発表している。1000 Beastsとしては2017年ごろから活動しており、2020年にリミックスで参加したElaine Maloneの「You」は、Spotifyで180万回再生を突破。2022年4月に初のアルバム『Naruda』を発表したばかりの中、すでに2023年のアルバムリリースに向けコンスタントに制作中の多作家。


ー音楽を始めたきっかけは?

音楽一家に生まれたので、常に音楽がそばにありました。母は音楽の先生をしていて、いつも僕に演奏をするようにすすめていましたね。それで、5歳か6歳くらいからピアノを習い始めました。

 

ーアーティスト名の由来を教えてください。

この名前の背景には、すべてのトラックで異なるボーカリストとコラボレーションしているという考えがあって、僕とコラボする彼らは1000 Beastsの“Beasts”なんです。正直なところ、僕は歌えません。でも、ずっと音楽を作りたかったんです。自分でプロデュースすることができるというのは、本当に嬉しいことです。

 

 

ー若い頃の自分にアドバイスするとしたら?

前進し続け、粘り強く、旅を楽しむこと。

 

ー今、どのような音楽にハマっていますか?

世界中の音楽をたくさん聴いています。SpotifyのDiscover Weeklyのおかげで、毎週月曜日には、世に生み出されたばかりの素晴らしい音楽を耳にすることができる。Fela Kutiを感じさせるような西アフリカの音楽から、フランスの音楽、イタリアのディスコミュージック、それからブラジルの音楽まで何でもあります。たくさんの種類のインディーソウルや、インディーエレクトロニックなんかもありますね。具体的にあげるとすれば、Ignacio Maria Gomez、Mr GISCARD、Naima Bock、Kokoroko、DjeuhDjoahといったアーティストたちです。

 

ー影響を受けた音楽やアートは?

ロックダウン中は、Men I TrustとKhruangbinだけを何週間も聴き続けました。この2つのバンドはとても新鮮で、それぞれの方法でインスピレーションを与えてくれましたね。2020年のパンデミックでは、ステージ上のLaura Leeのかっこよさに惹かれて、ベースを買って独学で弾き語りをしたこともありました。今では1000 Beastsのライブでエレクトロニクスとキーボード、ベースを演奏しているのですが、最高の決断だったと思います。

 

ー音楽の仕事をしていなかったら、何をしていたと思いますか?

音楽大学に行く前に最初に考えたことの一つなのですが、僕は物事を解明したりアイデアを分解して再構築することが好きなので、科学や工学の分野で何かしていただろうと思います。エンジニアと音楽プロデューサーには、似ている部分が多くありますね。

 

ー初めて聴くリスナーにおすすめの一曲は?

デビューアルバムのタイトル曲「Naruda」には、1000 Beastsの全てが詰まっています。Soultoronicな雰囲気をユニークに表現していて、チルな雰囲気とアップビートをミックスしました。この曲は、僕の全ての音楽、特に来年のリリースに向けて取り組んでいる音楽のベンチマーク的な存在です。

 

ー最新曲についてお聞かせください。

デビューアルバム『Naruda』を発売したばかりで、シングルをリリースしてきたこの一年の集大成になりました。このアルバムは、パンデミック中にアイルランドの自宅で、様々なアーティストとリモートでコラボレーションして生まれたものです。音楽の作り方はこれまでとはかなり違うものになりました。まずインストゥルメンタルを作って、好きなアーティストやインスピレーションを受けたアーティストに声をかけるんです。そして、僕が作ったビートで歌うことに興味があるかどうかを聞きました。そうすることで、アルバム全体に一貫したサウンドが生まれ、コラボレーター全員が自分のサウンドや才能を発揮する場となるのです。

 

ーどのような環境、機材で制作していますか?

自宅のスタジオにピアノ、キーボード、何本かのギター、ベースがあります。それから、シンセ数台(OP-1を含む)とラップトップも持っています。ソフトの中で作業することが多いのですが、ついついベースを弾き込んでしまうこともあります。実験したくなったり、アイデアをより発展させたいときは、他の楽器を取り入れることもありますね。

 

ー音楽を作るうえで大切にしていることは?

新鮮で、身体的にも感情的にも動かされるものであるということを、とても重要視しています。浮かんだアイデアがそのようなものでなければ、すぐに捨てます。素早く作業して、たくさんのアイデアを出し、1週間か2週間後に作ったものを振り返って、それをさらに発展させるか捨てるかを中立的な立場で判断する、という作業は結構好きなんです。でも一方で、曲の全体的なフィーリングがしっくりこないときなどは、作っているときに注目していたような、小さな音のニュアンスが失われてしまっているのかもしれませんね。

 

ー今後のリリースや活動予定を教えてください。

次のアルバム制作に没頭しているところで、2023年にリリース予定です。夏の初めに母国アイルランドのフェスティバルでいくつかのライブをしますが、8月はずっと家に閉じ込もる予定。今、自分の音に本当に集中していて、テクニックに磨きがかかっているという実感があります。次回作は、アルバム『Naruda』やライブで、僕が発しているエネルギーが好きな人たちのために作られる内容ですね。

 

 

*このインタビューは2022年9月30日に発売されたVI/NYL #009のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。