#009-Barry Can't Swim

#009-Barry Can't Swim

Instagram: @

barrycantswim

 

スコットランド・エディンバラ出身。UKのアンダーグラウンドハウスのシーンにおいて、絶大な人気を誇るレーベルShall Not Fadeからのリリースで一躍話題に。現在はロンドンを拠点に、クラブミュージックの名門レーベルNinja Tuneに所属し活動中。ジャズ、ハウス、エレクトロ、ジャングルといったジャンルをシームレスに紡ぐ、新鋭アーティスト。2022年6月にはEP『More Content』がリリースされたばかり。

 

■ VI/NYLのご購入はこちらから ■ 



ー音楽を始めたきっかけは?

祖父が地元の新聞に載っていた“良い家に無料でピアノを貸し出します”という広告を偶然見つけて、僕に教えてくれました。全てはそこから始まったんです。その後エディンバラで音楽を学び、地元のバーや会場で働き、街を行き交うアーティストやジャズバンドをたくさん見てきました。20代前半にはバンドを組んでいましたが、最終的にエレクトロニックミュージックに出会い、それが僕の完全な情熱となりました。

 

ー初めて聴くリスナーにおすすめの一曲は?

昨年12月にリリースした『Amor Fati』というEPに収録されている「Lone Raver」。この曲では内向的な幸福感を表現しようとしていて、今制作している新しい曲の方向性をよく表していると思います。メロディックで高揚感がありながら、メランコリックなムードが漂っている、そんな曲です。

 

ーもし音楽の仕事をしていなかったら?

もし作曲をしていなかったら、レーベルやプロモーターとして働いていたかもしれませんね。きっと、何らかの形で音楽の仕事をしていると思います。もしそれが無理なら……そうですね、庭師になるのもいいかもしれません。自分の手を使うことができる仕事ですから。

 

子供の頃のことを教えてください。

まさに悪夢のような子供だったと思いますよ(笑) 僕はADHDで、いつも元気でワイルドでおしゃべりだったんです。その頃から何も変わっていませんね。

 

ー幼い頃の自分にアドバイスするとしたら?

自分ではどうしようもないことは手放した方がいい。自分をコントロールできるのは自分だけだから、それ以外のことにエネルギーを消費しないこと。そして、自分に厳しくしないこと。僕は今も変わらず、これらに取り組んでいます。

 

ー最近、自分は何か変わったと思いますか? 

ロックダウン以降、冷静になりました。以前は毎晩遅くまでパーティーをしていましたが、今では土曜日の午前2時過ぎに出かけるのが精一杯(笑)

 

ー出身地スコットランドの好きなところは?

住んでいる人たちみんなですね。あくまで僕個人の意見ですが、スコットランドの人々は地球上で最も親切で、あたたかく、そしてユニークな人々であると確信しています。世界中の多くの人々に、エディンバラに来ることをおすすめしたいですね。

 

ーストレスを解消するための方法は?

音楽を作ることです。どんな形の感情も表現できる、僕の得意とするアプローチなので。あとは、音楽を聴くことでもリラックスできます。ロンドンにある美しい公園のすぐ隣に住んでいるので、毎日そこを散歩するのが好きなんです。新鮮な空気で頭をすっきりさせるのはいいことです。

 

ーあなたの夢は何ですか?

あまり先のことは考えないようにしているんですが、アーティストとしてキャリアを積み、音楽を通して世界を探検することです。そして、その過程で楽しい時間を過ごすこと。

 

ー最新曲についてお聞かせください。

今年の6月にEP『More Content』をリリースしたばかり。ロックダウンと外出規制が解除された直後に書いたもので、その時の自分の気分の変化に寄り添って制作しました。なので、内向的な曲もありますしアップビートな曲もあります。不思議な組み合わせを楽しめるEPになっていると思います。

 

ー今はどんな音楽を作っていますか?

デビューアルバムの制作に取り組んでいるところです。シングル楽曲とは違って、一つの作品を作るということにおいて、今までの制作とは違う考え方をしなければならないということを実感してます。なので最近は、自分の好きなアルバムを聴き直しています。オーストラリアのサンプリングコラージュの天才The Avalanchesの『We Will Always Love You』、冒頭からエンディングまで壮大に紡ぎあげられたJamie xxの『In Colour』、緻密にプログラミングされたリズムとアブスラクトなシンセが絶妙に混ざり合うSkee Maskの『Compro』、スウェーデン・ストックホルムのエレクトロプロデューサーIshi Vuの『La Luz』などをあらためて聴いていますが、本当にどれも素晴らしいアルバムですね。

 

ー音楽を作るうえで大切にしていることは?

そこに感情や感覚が存在するかということ。特にエレクトロニックミュージックは機械を使って曲を作るので、魂が込もっていないような音になる可能性があるので。音楽を作ることは、私にとってセラピーの一種のようなものなんです。感情を抽出して、それを別のものに注ぎ込むことで、ある種の感情から私を解放してくれているんです。

 

ー今後の活動、リリース予定は?

今後数カ月間にシングルを数枚リリースする予定で、その後デビューアルバムを発表する予定です。すでにアルバムの骨組みはできていて、どう聴こえるかは頭の中でわかっているので、空白を埋めて色付けするだけです。あとはライブが控えていて、クリスマスにはオーストラリアでデビューツアーを回る予定なんです! 楽しみですね。

 

*このインタビューは2022年9月30日に発売されたVI/NYL #009のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。