韓国の4人組バンド・Silica Gelが最新曲「BIG VOID」を携え、より深化したサウンドと向き合っている。鋭い感性と重層的な音像で、シーンの中で独自の位置を確立してきた彼らは、いま“調和”や“成熟”を軸に、新たな表現へと踏み出している最中だ。今回VI/NYLが行ったインタビューでは、個々の創作活動やバンド名の由来、幼少期の記憶まで語られ、次章へ向かう彼らの現在地が鮮明に浮かび上がる。
──音楽を始めたきっかけを教えてください。
Chunchu 元々ピアノのレッスンに通っていたんですが、ある日突然、ヘビーメタル好きの両親の影響を受けて「ギターが弾きたい！」と思ったんです。
──バンド名「Silica Gel」の由来は？
Geonjay 大学のメディアアートの授業で、チーム名が必要になったのがきっかけです。みんなで話し合っても全く決まらなくて、「じゃあ30秒以内にバンド名を決めよう。決められなかったら全員アウトだ！」と冗談を言いながらガムの容器を机に投げたら、そこからシリカゲルの小袋がぽろっと落ちてきて。その瞬間、「もうSilica Gelでいいじゃん」と全員で決めました。
──Silica Gelを最もよく表していると思う一曲は？
Hanjoo 「Kyo181」がおすすめ。オルタナティブなプロダクションとミニマルな作曲が絶妙に溶け合った、満足度の高いトラックです。
──12月11日に発売となった最新曲「BIG VOID」について教えてください。
Chunchu 次のアルバムに向かう旅の中で、最も重要な位置にある曲だと思っています。今のSilica Gelがどこに向かっていて、何を見ているのかを一番はっきりと映し出してくれる存在なので、まずはぜひこの曲から聴いてほしい。
──今、取り組んでいる音楽や、バンドとしての現在地点はどんなものですか？
Hanjoo ここ数年は、以前よりも“調和”や“成熟”を強く意識しています。同じシンセの音でも、どれだけ奥行きやニュアンスを生み出せるかを考えながら、ドラムを含むあらゆる音の構造を、より綿密にレイヤーしていく。歌詞で扱うテーマを掘るのと同じくらい、サウンドの細部にこだわって、少し大人になったSilica Gelの感覚を形にしているところです。
──曲作りで大切にしていることは？
Geonjay 突き詰めると、やっぱり“自分たちが聴きたいもの”を作っているんだと思います。だからこそ、自分がこれまでの人生や活動の中で得てきた大事な洞察を、遠慮なく楽曲の中に取り込むことがすごく重要。
──Silica Gelとしての活動以外に、それぞれ個人ではどんな活動をしていますか？
Geonjay 自分はShirakami Woodsというチームで作詞・作曲・歌唱を担当しています。さらに、パーカッショントリオで即興演奏を行う『SETSETSET!』というプロジェクトにも携わっているよ。
Chunchu 音楽以外の仕事はしていませんが、個人スタジオで他のミュージシャンのレコーディングやミックスを手がけることはあります。
Hanjoo Silica Gelに関連するものとして、「BIG VOID」ではグラフィックスコアやアートワークの制作を担当したよ。依頼を受けて文章を書くこともあります。
Woonghee 本当はドラマ制作にも挑戦したいんですが、いつも時間が足りなくて……。
──あなたにとって音楽とは？
Hanjoo 自分にとっては、音楽とは“母語”であり、“自分自身そのもの”という感じ。
──ストレス解消や気分転換の方法は？
Chunchu 本当に色々試してきたんですが、結局「忘れてしまうこと」に勝るものはなくて。だからゲームにどっぷり没頭します。その時間だけは、余計なことを考えずにいられる。
──子供の頃から変わっていないことはありますか？
Woonghee 好きなものには全力で取り組むこと。逆に、好きじゃないことはつい後回しにしてしまうところも、ずっと変わっていません。
──振り返ってみて、どんな幼少期でしたか？
Geonjay 今思うと、とても長く感じられる時期でした。勉強したり、音楽を聴いたり、遊んだり、食べたり、考えたり……ほとんどの時間をそんなふうに過ごしていた気がする。
──音楽をしていてよかったと感じる瞬間は？
Chunchu 自分たちが作った音楽から、ミュージックビデオやライブパフォーマンスなど、様々なコンテンツが派生していくじゃないですか。そして最終的にそれを実際に演奏する瞬間が、最高だなと思います。
──最近あった“最高のニュース”は？
Woonghee 自分が所属しているバンドWah Wah Wahと、Chunchuのソロプロジェクト NoridogamのコラボEPが出ること。、『UBUBU』というタイトルなので、ぜひチェックしてほしいです。
──出身地で好きなもの、誇りに思うものを教えてください。
Chunchu トッポッキですね！ 海外から韓国に戻ってくると、妻と必ずトッポッキを食べに行きます。「또보겠지 떡볶이집（トボゲッチトッポッキ）」という店があって、本当においしいので、韓国に来たらぜひ体験してみてほしい。
──最近の活動やこれからの予定について教えてください。
新曲を発表し、日本で2度公演をした後、2026年にはもっと多くの海外のファンに会うための計画をたくさん立てているよ。もちろん、新しい音源やライブに関するニュースも届けられるはずです！
──最後に、これからの夢を聞かせてください。
Woonghee 今、音楽を仕事にできている時点ですでに夢が叶っているように感じています。でも次の夢は、韓国の外でもっと多くの人たちと出会うこと。Silica Gelをもっともっと大きなバンドに育てていきたいです！
PHOTOGRAPHY : Taemin Ha
*写真は全てアーティストからの提供です。
■INFO：「BIG VOID」- Silica Gel
最新曲「BIG VOID」は、12月11日にリリースされた彼らの新章を象徴する一曲。バンド自身が“次のアルバムへ向かううえで最も重要な位置にある”と語る本作は、現在進行形のサウンドと視点をまっすぐに提示する作品となっている。