Priya Ragu
Instagram:@priyaraguofficial
スイス出身のR&B/ソウルシンガー。南インド・タミル民族出身の両親の元に生まれ育つ。2017年NYに移住後本格的に音楽活動を始め、2020年にワーナー・レコードと契約。多ジャンルの要素を融合したデビュー曲「Good Love 2.0」が注目を集め、最新アルバム『damnshestamil』は実兄のJaphna Goldがプロデューサーを務める。
ー音楽を始めたきっかけは?
チューリッヒから車で1時間くらいのところにあるザンクト・ガレンで生まれ育ったんですが、そこで7歳の時から7年間バイオリンを習っていました。10歳の時に父から彼のバンドで歌うように言われ、そこから本格的に音楽にハマりました。父は「よし今日から歌うんだ」という感じで、音楽を始めるのに疑問を抱いたこともなかったです。父のバンドでは英語ではなく、私たちのルーツであるタミル語で歌っていました。その後音楽のチャンスを求めてチューリッヒに移り住んで、色んなミュージシャンと繋がってコミュニティーを作ることができました。そこではバックグラウンドシンガーをやっていましたが、自分の音楽を作ったことはなくて。2017年にニューヨークに行って、そこで自分の曲を作り始めたんです。ニューヨークにいた半年間は、ただクリエイティブな時間を過ごして音楽を作れるか試していました。兄のジャフナ・ゴールド(Japhna Gold)は音楽プロデューサーなので、ずっと一緒に少しずつ曲を書いています。
ースイスの音楽シーンを教えてください。
スイスではスイスジャーマンの音楽が流行っています。言語はスイス系のドイツ語なんですが、ポップミュージックもあるし、ヒップホップもあります。一番メジャーなのはポップミュージックですが、テクノやエレクトロも人気。R&Bやソウルミュージックのリスナーは少ないですね。スイス人アーティストは少なくて、イギリスやアメリカのアーティストの方が有名です。
ー今どんな音楽を作っていますか?
最近作っている音楽のスタイル/ジャンルは“ラグ・レイビー(Ragu-Ravy)”と呼んでいます。私の音はとても独特で、R&B、ヒップホップ、フォーク、ジャズなど色んなジャンルの要素が入っていてジャンル分けが難しいから、自分で自分のジャンルを作ったんです(笑) 私の音楽をリスナーが聴いた瞬間「Priya Raguだ!」ってわかるような、私だけの音楽を作りたいと思っています。
ーインスピレーションはどこから得ますか?
難しい質問ですね。多くは私の生活の中で経験したことや、ドキュメンタリーからインスピレーションを受けます。例えば「Kamali」という曲は、私が観たショートフィルムから影響を受けました。もちろん家族や友達からもインスピレーションは受けますが、自分自身をよりよく知って、自分が誰でどこにルーツがあるのかということを大切にしています。人生の中で経験した全てのことが、私のインスピレーション源となっています。
ーメンターはいますか?
私のメンターは4歳年上の兄です。彼が私のメンターである理由は、シンプルに彼が昔からずっと音楽をやり続けているからです。私はスイス航空の会計部門などでずっと安定した仕事に就き、安定した収入がありました。しかし彼は昔から音楽が全てであり、音楽活動を行うことに迷いがありませんでした。彼はいつも自信を持っていて、絶対にあきらめませんでした。その影響で、私は自分自身を信じることが出来るようになり、彼と一緒に音楽を作り始めました。何か不安に感じたり、迷いや行き詰まりを感じるときはいつも兄に相談しています。
ー兄妹で一緒に音楽を作るにあたって衝突することはありますか?
いいえ、兄と音楽を作るときに争うことはなく、私たちの目指すものは常に一致しています。最初の曲を作った時は、兄には兄自身の考えがあって、私には私自身の考えがあったのでたくさん議論しました。『Leaf High』というミックステープを作っていた時です。そ次の『Lighthouse』からは、音楽を共に作ることに慣れ衝突もなくなりました。
ー最近気になっているアーティストは?
最近は好きなのは、Snoh Aalegra、Cleo Sol、Anderson Paak、Kendrick Lamar、Kanye westです。
ー音楽はどんなときに何を使って聴きますか?
普段は朝起きて、瞑想を20分間してから公園に行って、散歩をしながら音楽を聴いています。このルーティーンはとっても気に入っていて、音楽のほかにポッドキャストも聞いたりします。
ーどんなポッドキャストを聴いていますか?
お気に入りはRomesh Ranganathanというパーソナリティーによる『Hip Hop Saved My Life』。このポッドキャストは面白いだけではなく、たくさんの情報が得られるんです。アーティストたちが、どのようにヒップホップに魅せられていったのかなどについて知ることができます。
ー最近気になっている社会問題は?
アフガニスタンの難民については注目しています。あとスリランカで差別されているタミル人についても関心はあって、色んな社会問題について、自分のプラットフォームを使って話したりしています。
ー次の活動・リリース予定を教えてください。
10曲入りのミックステープが最近出ました。ミックステープの中の曲は、全て兄と2人で書いて2人でプロデュースしたものです。最後の曲は両親が書いたものでもあるので、このミックステープは、まさにファミリープロジェクトのようなものです。
*写真は全てアーティストからの提供です。
掲載号:VI/NYL#002(2021年12月30日発売)
■VI/NYL