スーダン東部カッサラ生まれ、ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動する詩人、シンガー。幼少期に渡米、その頃から詩を書き始める。2016年のButton Poetry Liveで「Pins and Needles」を披露し、作詞の才能が一躍話題に。その後プロデューサーMike Freyと出会い、活動のフィールドを音楽へ広げ、2019年に1st EP『Nūr』を発表。俳優としてNetflixドラマ『Sex Education』にも出演するマルチアーティスト。
ー音楽を始めたきっかけは?
アンダーグラウンドのポエトリー・スラムに出演していた時に作曲を始めた。その頃は、アーティストとしてキャリアを積めていない自分の状況や、性同一性障害であるために対処しているものの全てから逃避する場所を必要としていて、自分の中から常にメロディーと言葉がこぼれ落ちていた。周囲の人たちは作品に好意的に反応してくれたし、その表現を継続するよう、私を励ましてくれたの。
ー自分の曲の中で最もおすすめの曲は?
「Sugar Mama」がおすすめ。スマホで作った曲なんだけど、私のアーティストとしての才能をよく表現できていて、歌詞の遊び心とヒプノティックなメトロノームによるサウンドが特徴的な曲。ぜひ聴いてみてほしい。
ー最新曲について教えてください。
『CROSSOVER』は、様々なアフロ・ディアスポラのジャンルを超えた実践や、『Sex Education』での演技の世界に挑戦した経験、さらに自分のジェンダーをより拡大的に理解するために変化していく、私自身の経験を描いたEP。
ー今どんな音楽を作っている?
初めてのフルアルバム制作に取り組んでいるところ。楽曲では、私自身の恋愛、ジェンダー拡大のプロセス、その他芸術的な経験の探求をしていて、人生について深い洞察を与えてくれる実験的なR&Bアルバム。音作りは、より生っぽいリアルなものになるように自然の要素を活かしたの。今まではEPしかリリースしていなかったんだけど、これからはフルアルバムにもたくさんチャレンジしていきたい。
ー音楽を作る上で大切にしていることは?
自分が感じていることを受け手にも感じてもらうこと、人々が音楽によって感動し、音の物語を通じて物事を理解するプロセスを保証すること。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
リリース予定のLPは、自分の土地の自然資源をテーマにして制作しているの。ナイル川のような生命の源は、曲作りにおいては、生命の生々しさへの理解をより広げるための表現に生かされると思う。他にも水の流動性と勢い、マーラー山脈の堅固で険しい広がり、豊かな森の実りなど……。それぞれが、私が経験する状況や私という人間に対する知識を、さらに詳しく述べてくれる材料になる。
ーアーティスト名の由来は何ですか?
私の実名。スーダンのアラビア語の名前で、「Dua」は“個人的な祈り”、「Saleh」は“徳の高い”という意味があるの。
ーあなたにとって音楽とは?
物語や文化のテクスチャーを理解するための手段。また、私にとってはカタルシスの一種でもある。
ーあなたが影響を受けた音楽やその他の芸術は?
海外のポップミュージックがとにかく大好き。私の作る音楽が多種多様なサウンドを持っている理由はそこにあるの。最新EP『CROSSOVER』では、ハウスミュージック、レゲトン、アフロビーツ、ハイパーポップなど様々なジャンルをミックスしていて、その特長がわかりやすいかもしれない。
ー影響を受けた人物は?
Beyoncé。
ー初めて買った曲やアルバムは何でしたか?
スーダン出身のアーティストMohammed Wardiの音楽を聴いていたのが一番古い記憶。
ー音楽の仕事以外に別の仕事をしていますか?
最近、俳優を始めた。Netflixオリジナルの『Sex Education』というドラマシリーズで、第3シーズンで登場したCalというキャラクターを演じているの。
ー音楽の仕事以外なら何をしていた?
きっと詩を書いていたかな。
ー音楽の仕事をしていて良かったこと。
コンサートで観客を見ると、いつも気分が明るくなるの。自分のしていることに、とてもやりがいを感じる。
ー最近気になっているアーティストは?
サウスロンドンのクロイドン区出身のRachel Chinouririというアーティスト。
ーどのような環境で音楽を作っていますか?
どこでも作れるよ!
ー子供の頃のことを教えてください。
いつも本を読んでいる子供だった。
ー子供の頃から変わっていないことはありますか?
辛いものが大好きなこと。
ー若い頃の自分にアドバイスするとしたら?
あなたは愛されていて、十分な存在よ。周りの人と違うからといって、自分のことを責めないで。
ー趣味は何ですか?
漫画を読むのが大好き。
ー最近ハマっていることは?
ドラマ『Succession』。
ー最近のベストニュースは?
それは内緒。
*このインタビューは2022年5月14日に発売されたVI/NYL #006のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL