タイ・バンコク出身、ニュージランド育ちのシンガーソングライター。2014年にシングル「Adore」をバンコクのインディーレーベルRats Recordsからリリースし活動を開始。2018年のシングル「Lover Boy」が世界的に大きな評価を獲得し、アジアを代表するシンガーとしてスターダムを駆け上る。2022年2月には野宮真貴のYouTubeプログラム『World Tour Mix Series』で名曲「陽の当たる大通り」をプロデュースするなど、活動のフィールドを広げ続けている。
ー音楽を始めたきっかけは?
音楽を始めたのは12歳くらいかな。中学校で音楽に興味を持ったのがきっかけだけど、思い返せば幼い頃からずっと音楽に囲まれて育ってきたと思う。母がCDを聴いていたり、兄が歌のレッスンを受けていて、シャワーを浴びながら歌っているのを聴いたりするのが当たり前だったからね。高校に入るとBATTLE OF THE BANDS(※実在のバンドをモチーフにしたカードゲーム)を始めたり、聖歌隊に入ったりして、そこから雪だるま式でここまできたよ。それで2014年にタイのRats Recordsというインディーのレーベルに参加して以来ずっと一緒にやってきて、今に至るんだ。
ーアーティスト名の由来は何ですか?
Phum Viphuritというのは実は僕のニックネームで、Viphuritはファーストネーム。タイでは、アーティストがニックネームとファーストネームを一緒に使うのはよくあることなんだ。
ー子供の頃のことを教えてください。
子供の頃はかなりやんちゃだったと思う。世間知らずで、恥ずかしがり屋。
ー子供の頃から変わっていないことは?
笑顔かな。
ー若い頃の自分にアドバイスするとしたら?
心配しすぎないで。ベストを尽くせば物事は上手くいくし、常に勇気を持って信念を貫くこと。
ー趣味は何ですか?
今はゲームが好き。プレイステーション4でたくさん遊んでいるし、最近プレイステーション3とプレイステーション2も買ったんだ。コレクターズアイテムのプレイステーション1も手に入れたんだよ! あとは、最近タイでスケボーが流行っているからたまに乗ってる。
ー初めて買った曲やアルバムは?
初めて買ったアルバムは『The Great Hits Of Elvis Presley』だったと思う。ニュージーランドの地元のスーパーマーケットで買ったんだけど、素晴らしいアルバムだった。
ー最近、自分は何か変わったと思いますか?
この数年、特にコロナ禍で少し変わったと思う。一人で過ごす時間が増えて、自分の嫌なところ、改善したいところがたくさんあることに気付いたんだ。私生活や音楽についても、自分の成長やキャリアをどうしたいのかなど多くの内省があったね。
ー最近気になっているアーティストや、今尊敬しているアーティストはいますか?
フランスのL'Impératriceというバンドと、ベルリンで出会ったオーストラリアのParcelsがお気に入り。生音や生楽器が聴けるバンドが好きなんだけど、今の音楽界ではそれがレアになってきている気がするから、彼らには本当に感謝している。
ー自分の曲の中で最もあなたを象徴する曲は?
僕を代表する曲といえば、EP『Bangkok Balter Club』の「Softly Spoken」かな。明確な言葉では言えないんだけど、すごく自分らしい曲だと思う。テンポ、メロディー、サウンド、雰囲気、その全てが今の僕の魂を表しているような気がするんだ。
ー最新曲について教えてください。
今は2枚目のLP、フルレングスのアルバムを作っているところで、その間にいろんなコラボレーションをしたんだけど、それを書いては消してというのを2年くらい繰り返しているんだ。最新曲は香港出身のThomas Ngというアーティストとのコラボレーション。この曲はメロウなバラードで、いいグルーブ感を持っているから、発売を楽しみにしててほしい。
ーどのような環境で、どのような機材を使って音楽を作っていますか?
普段はラップトップとFocusriteのインターフェイス、Fenderのストラト、スチール弦とナイロン弦のアコースティックギター、それから最近買ったRolandのシンセサイザーJupiter-Xm、電子ドラムのTD-50を組み合わせて使ってる。自宅にフルセットが揃ってるから、制作もほとんど自宅なんだ。
ー今はどんな音楽を作っている?
今作っている音楽は、自分の外側で経験したことからインスパイアされている。いつもは自分の日記や、自分のノスタルジアから書くんだけど、最近やり方を変えたんだ。というのも、僕自身、自分の物語にかなり疲れてしまったみたいで、今は映画や人との会話からインスピレーションを得て、よりアコースティックでソウルフルな雰囲気でアルバムにアプローチしてるよ。
ー音楽を作る上で大切にしていることは?
これは多くのアーティストにとって最も難しいことだと思うけど、自分らしさを感じられる、本物の音楽であるということが僕にとっては最重要。クリーンなサウンドを作ろうとすると、どこかで聴いたことのあるようなものになりがちだから。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
今年は海外ツアーに復帰して国内でもツアーをやるよ。それから何枚かシングルを出して、他のアーティストとのコラボレーションも予定しているよ。
*このインタビューは2022年5月23日に発売されたVI/NYL #007のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL