9m88
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ジョウエムバーバー。台湾・台北を拠点に活動する、R&B、ジャズ、ヒップホップシンガーソングライター。ファーストアルバム『Beyond Mediocrity』で注目を集め、台湾ではD.A.N.、STUTS、Tempalayと共演、2019年サマソニにも出演。11月25日にEP『This Temporary Ensemble』を発表。
ーあなたが住んでいるところは?
故郷の台湾・台北に住んでいて、3年前にニューヨークから戻ってきました。楽しい街で、食べ物もナイトライフもとても充実してるけど、COVID以降は外に出て何か娯楽とかはしていないです。
ーまわりの音楽シーンのトレンドは?
うーん、R&Bとヒップホップかな。このジャンルにいるので、いいことだと思います。
ー音楽を始めたきっかけは?
元々歌うことが好きで、自分で曲を作りたいと思い始めたのは、ファッションの学士号を取得してから。曲をたくさんカバーして、自分で何かを作りたいという衝動に駆られてNYに移り住み、音楽を探求し始めました。NYの街は自分の音楽活動にとって大きいです。
ー今どんな音楽を作っている?
ソウル・R&B、シンガーソングライター、ジャズに影響を受けたサウンドです。
ー制作のインスピレーション源は?
最近は食べ物や植物ですね。
ー影響を受けた人・メンターは?
Erykah Baduは、個人的には知らないけど、自分の音楽人生におけるメンター。Reggie WorkmanとJane Ira Bloomは、ニュースクール・ジャズで学んでいたときに私に大きな影響を与えてくれたミュージシャンの師匠。
ー気になっている社会問題は?
パンデミックからアフガニスタンまで、今はたくさんのことが起こっていて、脳が情報やニュースで窮屈になっていると感じることがあります。世界で起きていることには確かに注意を払う必要があるけど、あまりにも情報に圧倒されてしまうなら、まずは自分を大切にすることが必要かも。
ー幼い頃から変わらない自分の性格は?
とても頑固で、自分のやり方で物事を進めたいと思ってきました。
ー注目しているファッションブランド
CHANEL、Jacquemus、PETER DO……。できるだけ新しいブランドをチェックしています。
ー気になっている音楽ジャンル
ちょっとフォークロアな感じのインディー/オルタナティブ・ポップスを聴くようになりました。最近はブラジルの音楽をよく聴いています。
ー音楽を聴くときに使う機器は?
家ではAirPodsとSONYのベーシックなサウンドシステムを使っていて、たまにレコードを聴くこともあるけど、高価なものを買おうという気にはあまりならないです。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください
できれば今年の末にリリースしたい。いくつかのプロジェクトをお見せしたいです。
ーおすすめの曲を3曲教えてください
1つ目はStan GetzとLuiz Bonfaの『Jazz Samba Encore!』。去年から今年にかけてずっと聴いていたレコードです。以前はボーカルもののレコードをよく聴いていましたが、ボーカルのない音楽でもボーカルと同じくらいの表現力や力強さがあることに気付きました。このレコードは私の夏のお気に入りの曲で、よりディープな感覚にさせてくれます。私にはミキシングが魅惑的で、シェイカーとスティックを前面に出して、片側にはハードパン。堅苦しい感じがしても、それが好きです。ボーカルも曲中に現れたり消えたりしますが、それがとても意味があって美しい。もちろん、Luiz Bonfa の並外れたギター演奏もこのレコードを生き生きとさせていて、彼のソロアルバム『Solo in Rio 1959』もおすすめです。
2つ目は、Puma Blueのレコード『Blood Loss』。コロナまではこういうムーディーで官能的な音楽を聴いていなくて、隔離されたことで音楽をもっと聴くようになったのかもしれないです。Puma BlueはSadeの男性版だと思います。冷たくて、セクシーで、彼の声には無限の感覚がある。真夜中のドライブを続けているような雰囲気だし、彼の声とムーディーなサックスの演奏を組み合わせて、攻撃的ではなく聴き手にプレッシャーを与えない上品な使い方をしているところが気に入っています。
3つ目は、昨年末にGAGLUのMitsuさんと一緒に作った「Tell Me」(9m88 and Mitsu the Beats)。彼とはずっと一緒に仕事をしたいと思っていたのですが、この曲を作るためのビートを快く作ってくれました。その頃、私は落ち込んでいて、リアリティー番組『テラスハウス』のメンバー木村花さんが自殺されたこともあってショックを受けていたので、人生や他人の批判に苦しんでいる人たちを励まそうと思ってこの曲を書きました。私たちは家に戻って、自分にとって本当に大切なものは何かを考えなければなりません。他の人の考えではなく、自分の考えです。Mitsuさんがこのアイデアに賛同してくれて、Mitsuさんのスタイルを体現しつつ、ヒップホップらしさを失わない美しいトラックを作ってくれたのが嬉しかったです。ミュージックビデオもとても気に入っています
*このインタビューは2021年12月30日に発売されたVI/NYL #003のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL