ブルガリア出身シンガー・ギタリストのイヴァナ、オーストラリア出身プロデューサーのロビーによる、サイケデリック・オルタナティブ・ポップデュオ。現在シドニーを拠点に活動中。サイケロックバンドUnknown Mortal Orchestraのライブで客席が偶然隣同士だったことをきっかけに出会い、2018年に結成。2021年12月に1stEP『Sunday』を発表し、2ndEP『Headroom』が2022年3月21日にリリースされた。
ー音楽を始めたきっかけは?
Ivana:ブルガリアの祖母の家で父のギターを手にしたのが、音楽を演奏する最初のきっかけだったと思う。私は小さい頃から音楽が好きで、学生時代にはサックスを習っていたの。兄も音楽好きだったから、一緒に歌を歌いながら録音したり、何回かバンドを組んで演奏したこともあるわ。両親の友人宅で、Led ZeppelinやOasisとか、往年のクラシックなロックバンドを聴いたことも音楽を好きになるきっかけだったと思う。彼らの演奏や気持ちが与えてくれるエネルギーはまるで電気のようで、私にインスピレーションを与えてくれたの。若い頃は、音楽を通して自分の気持ちを処理したり、伝えたりすることが、私にとってのセラピーのような側面を持っていたと思うわ。
Robbie:僕は幼い頃からドラムを習っていて、学校のバンドでも演奏していたんだ。プロデュースワークに関しては友人のTim Powlesと一緒に勉強した。でも一番のきっかけは、自分で作曲、録音、アルバム全体のプロデュースをすることができる、したいと思えるアーティストを発見したこと。自分でもやってみようと思いやり始めてみたら、そのプロセス全体がとても満足のいく仕上がりになって楽しいと感じたんだよ。それからすぐにプロデュースに夢中になっていったね。
ー子供の頃のことを教えてください。
Robbie:僕は大のオタクだったよ。コンピューターゲームやサーフィンに明け暮れていたね。
Ivana:私はおしゃべりな子で、スポーツをするのが大好きだったわ。
ー若い頃の自分にアドバイスするとしたら?
Robbie:もっと練習しろ! じゃないと後悔する。
Ivana:一度に全てのことを考えるんじゃなく、一つずつ物事を進めていくこと。
ーそれぞれ、初めて買った曲やアルバムは?
Robbie:父が買ってくれたRed Hot Chilli Peppersの『Stadium Aecidium』、Silverchairの「Young Modern Station」。長距離ドライブの時に、車の後部座席の僕を静かにさせるために流してたみたい。
Ivana:Jeff Buckley 『Grace』だったと思う。大ファンだったの。
ーあなたが影響を受けた音楽やその他の芸術は?
Ivana:Radiohead、Beach House、Tame Impala、Air、Phoenix、それからフランスの音楽には、常に大きな影響を受けてるわ。
ー今はどんな音楽を作っている?
Ivana:今作っているEPは仕上げの段階に入ってきているんだけど、これは主にロックダウン中に書いたものなの。未来をロマンチックに描く感覚に大きく影響されていて、とても楽観的。私たちは常に、オーガニックな楽器と電子的なレイヤーの間のラインを見つけること、ポップさと面白さの間のラインを見つけることに興味があるんだけど、制作における選択やプロセスは、もう少しミニマルになるように努めてる。ただ延々とレイヤーを重ねるんじゃなく、全てのサウンドに居場所を作るのが理想。
ーどのような環境で、どのような機材を使って音楽を作っていますか?
Ivana:2人とも自宅にスタジオを持っていて、多くの制作はそこで行われている。ソフトシンセサイザーやサンプルなどを使って箱の中にいることが多いかな。アナログシンセサイザーはProphet Rev 2、moog Grandmother、OP-1を持ってるから、どの曲でもどれかのシンセサイザーは使われてるわ。
ー初めて聴くリスナーにおすすめの曲は?
Ivana:「Sunday」が大好き。この曲は私たちが大好きな音楽的、制作的要素が全て詰まっていて、この曲が放つ感覚は自分以外の音楽から得る大好きなものに似ているの。「After Dark」はMicraのもう一つの面、つまり、よりポップでダンサブルな、深く考える必要のない、ただシンプルに気持ち良くなれるような曲の代表。他にも「Child Grows Old」は私たちの最初の曲なので特別な思い入れがあるわ。この曲がリリースされた時、Robbieは日本にいて、「白馬」というバーで初めてラジオで流れた自分たちの曲を聴いていたのよ。
ー最新曲について教えてください。
Ivana:最新曲は「Doesn't Mean A Thing」という曲。スローでグルービーなバラードで、Men I Trust、The Marías、Beach Houseにインスパイアされ、シドニーで密かに書き上げた曲よ。
ー音楽を作る上で大切にしていることは?
Ivana:自分自身を自由に表現すること、そして本物であることが大切。何のプレッシャーもなくやりたいことが何でもできると感じているときに、最高の音楽を作ることができるの。みんなに音楽を理解してもらうためには、不明瞭なものじゃなく口当たりの良いものでありたい。そしたらどんな目立たない要素にも、輝く瞬間が訪れるはずだから。
ーあなたたちにとって音楽とは何ですか?
Ivana:2人にとっての逃避行。すべてが上手くいったとき間違いなく自由と表現を手に入れることができるの。
ー夢はなんですか?
Ivana:幸せであること。そして人々に影響を与えられるような音楽を作り続けること。
*このインタビューは2022年5月23日に発売されたVI/NYL #007のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL