2018年にイギリスのケンブリッジシャーで結成された、Tyler Hyde(Vo./Ba.)、Lewis Evans(Vo./Sax)、Georgia Ellery(Vo./Vn.)、May Kershaw(Vo./Key.)、Charlie Wayne(Dr.)、Luke Mark(Gt.)、からなる6人組ロックバンド。2021年に発表された1stアルバムはマーキュリー賞にもノミネート。2022年にリリースした2ndアルバムは全英3位を記録。クレズマーやポストロックを融合させた独自のサウンドメイクで脚光を浴びる。
ーフジロックに出演し、初めての日本のライブはどうでしたか?
May Kershaw(以下May) 日本の観客はヨーロッパと違ってとても静かで、バンドに対してのリスペクトを感じたわ。静かな曲を演奏しているときなんかは特に。他のフェスだとステージ間の距離がかなり近くて、他のステージの音が被ることが多いから、静かな曲をやるときは大変なの。
Charlie Wayne(以下Charlie) ラトビアでライブをやった時は、ラスト数曲で静かな曲をやろうとしたタイミングで、100メートル先のステージでMegan Thee Stallionのライブがすごい音で始まっちゃって。さすがに彼女には対抗できないから、僕たちも早めに切り上げて、みんなで観に行ったよ(笑)
ーWhite Stripesの「Seven Nation Army」での登場には驚きました。
May あれはライブの5分前に決めたの。
Charlie 前日のJack Whiteのライブがやばかったからね。
ー今回のライブは全ての曲がアルバム未収録曲でした。演奏した楽曲はいつごろ制作したものでしょうか?
May 古い曲も新しい曲もあるんだけど、Tyler(ベース)がやった曲は、彼女がソロで数年前に作っていたものだと思う。
Charlie Louis(トランペット)とGeorgia(バイオリン)の曲はここ4カ月以内にできた曲。今回のセットの曲は全て、この6カ月の間でバンドに取り込んでいった曲なんだ。
ー最後の曲ではTylerが涙を流していました。
Charlie なぜ泣いたのか、正確な理由はもちろんわからないけど、彼女はフジロックに何回か来たことがあったからね。決してネガティブな感情ではなく、エモーショナルになったんだと思う。もちろんフジロックのステージで演奏することは、全員にとって大きな意味があったけど、その中でも彼女には特別な意味があったんじゃないかな。
ーBCNRはバンドとして個と和のバランスが取れていると思いますが、その秘訣は何ですか?
May みんなソロ活動も含めてやりたい音楽をやっていて、バンドでも担当パートは自分で書いている。それに、メンバーそれぞれが音楽について強い意見を持っているから話し合いをすることも多いの。会話をして考えがぶつかったときは、一番思いが強い人の意見が通ることもあれば、多数決を取ることもあるわ。
Charlie 担当するメンバーが、そのパートについては一番詳しいってことをお互い理解しているから、バランスが取れているんだと思う。そこまでお互いのパートには干渉しないから、演奏してるときに「そういうことするんだ。それいいね!」ってびっくりすることもあるくらい。
May レコーディング中は特に多いね(笑)
ー特徴的なロゴやアートワークは誰が考えているのですか?
May 友人にRosemaryというアーティストがいて、最近のアートワークは基本的に彼女が制作しているの。私たちは彼女から提案された候補から選んだり意見を言ったりしている。今回のツアーのパズルアートもそうだし、新しいバンドロゴも彼女の候補から私たちが選んだものよ。
Charlie ただ、Instagramの子供の絵を使ったアイデアに関しては、Tylerが考えたものを採用したんだ。面白おかしくパーソナルなことを共有している感じがして。
ー目標としているバンドはありますか?
Charlie 影響を感じても直接的に繋がりがあると思うバンドはいない。メンバーの好みも違うし。
May Ye(Kanye West)みたいに共通して好きなアーティストもいれば違うのもある。6人の好みがベン図みたいに重なり合った関係になってる。例えば、私とCharlie、Luke(ギター)はJoanna Sternbergが好きなんだけど、Louisは名前を聞いたこともなかったの。
ーサウスロンドンの音楽シーンは?
May ロンドンでも比較的大きなシーンではあるけど、メインストリームではないと思う。
Charlie そうだね。今感動しているのは、この撮影場所(BIG LOVE RECORDS)に『So Young Magazine』が置いてあることかな。パブでライブをしているような、小さいけど人気が出てきているバンドを取り上げている雑誌を、日本にいる人たちが読んでいるのはすごいことだよ。実際にこのシーンの中にいると、この雑誌で取り上げられる人たちは普通にライブハウスで知り合ってる人たちだから、客観的に見たこのシーンを理解するのは難しいね。
ー次のアルバムは、今回のツアー楽曲を中心とした作品になりますか?
Charlie 前回のアルバムの収録曲は、「Basketball Shoes」以外はコロナ禍に出来たものだから、ライブでもやりたかったんだけど、結果として“聴かせる”ためのアルバムになったね。次回のアルバムに関しては、今回のツアーで演奏している曲が収録されるとは限らないし、今ライブで演奏しているセット自体がアルバムというわけでもないから、そのことについてはこれから話し合って決めるよ。
INTERVIEW: SOO KWI