Baird
米メリーランド州ボルチモア出身、現在LAを拠点に活動する25歳の新鋭プロデューサー、シンガー、マルチインストゥルメンタリスト。自身の音楽スタイルを“コラージュ”と表し、多彩なギミックを用いて展開するジャンルレスなサウンドが魅力。2021年12月8日に最新シングル「Darkness Of The Night」を発表。
ー音楽を始めたきっかけは?
兄とジャムりながら育ったのが、音楽を始めたきっかけです。両親が私たちにピアノを習わせたのですが、私はそれに加えて後にギターとドラムも始めました。家の地下室でずっと演奏してましたね。
ー自分の曲の中で最もおすすめの曲は?
最新のプロジェクト『Birdsongs, vol.2』に収録されている「Etude Blue」は、これまでに発表した曲の中でもっともピュアな曲なのでおすすめ。ぜひ目を閉じてこの曲を聴いてみてください。
ー最新曲について教えてください。
最新シングルの「Darkness of the Night」は、私が音楽活動を始めてから初めて、自分ではなく他人の視点から物語を語ることに挑戦したもの。夫と別れる女性の話を語っているのですが、それは実際に私の家族の話でもあるんです。ストーリーに加えて、サウンド的に言うと、この曲は私の中ですでに完成したメロディー、アイデアの一つだったんです。このプロジェクトを始めたとき、小さな音のアイデアはたくさんあったのですが、この曲はどうしても完成させなければならないと主張してきました。このプロジェクトの中でも、この曲を完成させられたことが大きな喜びです。
ー今どんな音楽を作っている?
ちょうど今日は、『Birdsongs, vol.3』に収録する最後の曲を作っていました。コーラスを書いたのは2週間前だったんですが、それはLAでの初ライブの翌朝だったのを覚えています。自分の想いとしては、この曲を聴いてくださるみんなが一緒に歌えるような曲、そして覚えやすくてシンプルな曲を作りたかったんです。次のライブはこの曲で締めくくるつもりです。
ー音楽を作る上で大切にしていることは?
私はジャムをするのが好きなんです。素早く本能的に録音し、音楽をループさせて、その上から録音。15個の楽器を入れて、時々はそのうちの12個をミュートすることも。あるいは、作業をしながら思いつくままに、例えばドラム以外をミュートにして、そのグルーヴの上にさらに別の曲を作るというようなこともあります。私は繰り返し作業をするのが好きなんですよね。アナログではなくデジタルで音楽を作っているので「名前を付けて保存」や「Command + z」をよく使って小まめに保存しています。アイデアは何でも試してみて、後でまたそのデータに戻ってくることができますよね。
ー今後の活動・リリース予定を教えてください。
2月に『Birdsongs, vol.3』というプロジェクトでリリースの予定があります。「Birdsongs」3部作の最後のミックステープで、自分としては今までで一番良い作品になったなと思っています。この作品は、本当に時間をかけて完成させたので。「Lightning of July」という曲には特に注目してほしい。リリース以外でも、私はこれまでよりもっとたくさんのライブを始めていて、リリースの前後にいくつかのスケジュールを予定しています。もし運が良ければ、日本でお会いできるかもしれませんね。
ーアーティスト名の由来は何ですか?
Bairdは私の本名なんです。祖母が結婚する前の名字です。祖母は画家だったんですよ。
ーあなたが影響を受けた音楽やアートは?
自分に影響を与えてくれたものはとても多いと思います。今年は、David Axlerod、Os Novos Baianos、MF Doom、Karen Dalton、André 3000などをよく聴いています。
ー影響を受けた人物は?
影響を受けたのは、BROCKHAMPTONのリーダーKevin Abstractです。書くことや、時には執拗さや、自分のことを信じたり、次に進むべき時を知ることなどについて、たくさんのことを教えてくれたなと思います。彼は私にとって素晴らしいアドバイスをしてくれます。
ー最近気になっているアーティストや、特に今尊敬しているアーティストはいますか?
答えがちょっとバラバラになってしまうのですが、最近オノ・ヨーコさんの『どんぐり』を読んだばかりです。『どんぐり』は詩の指南書なんです。それについて最近はよく考えています。あとは、Jean Deauxというラッパーがいるのですが、その曲をよく聴いています。最高ですよ。それと、David Byrneのライブパフォーマンスをよく見ています。
ーイライラやストレスを解消するためにしていることはありますか?
サーフィン!(笑)
ーあなたの夢は何ですか?
私の夢は、メキシコあたりの田舎の農家で、美しいスタジオを経営することです。そこには大きな庭と素敵なキッチンを作るのを構想しています。スタジオができたら、例えばアーティストの友達が数週間立ち寄ってアルバムを作ったり、私の作品を手伝ってくれたりするんです。音楽制作だけでなく、陶芸をするスタジオや、洋服を作るスペースがあってもいいかもしれません。スタジオに誰もいないときは、ヤギやニワトリに歌を歌ってあげようと思います。
*このインタビューは2021年12月30日に発売されたVI/NYL #003のために実施されました。
*写真は全てアーティストからの提供です。
■VI/NYL